やぎ
汗ばむ体がシーツに触れる感触は余り好きじゃない。それなのに、シャワーへ行こうかと言い出さない理由は、
「…よう」
「なーに?」
「くすぐってえんだけど」
セックス後の哉太はちょっぴり不機嫌になる、多分恥ずかしいのを誤魔化したいんだろうけど、それだと僕が寂しくなるからこんな時の常套手段。
けだるさを抱えながらも服を着ようとする体を引き寄せて、素肌と素肌をぴったりとくっつける。
最初のほうは離せだなんだと暴れていたけれど、最近はそんなことも慣れたのか、居心地が良いと気づいたのか。後者だったなら嬉しいと思う。そう感じさせる自信もあるしね。
「髪、伸びたね」
襟足を摘んで呟けば、いつもよりも甘い声になった。
「そうか?お前こそ伸びたんじゃねえの?」
背中に回っていた手がつつつと移動する。いつものつんけんした動作や言葉が嘘のように柔らかいこの時間が、一番のお気に入りだったりする。
鼻の頭にキスを落として太ももを撫でると眉を寄せられた。
「いやなの?」
「…今日は特別だからな、いつもこうだと思うなよ。」
それが誕生日の特別な優しさだったのだと気づくのは、靴箱に入っているプレゼントを見た時。
直接渡してくれればいいのに、笑みがこぼれた。
チラチラと反応を隠れながら伺ってくるものだから、つい。
「僕の可愛い恋人は、本当不器用で恥ずかしがり屋さんだね」
耳元で呟く悪戯
真っ赤な顔に更に機嫌が良くなる、リボンが折れ曲がらないように鞄にしまった。
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