花粉症郁たん この時期の愛しい恋人は、何をしている時にもイライラしている。 「ちょっと琥太にぃ!ちゃんとぱんぱんしてから上がってきた!?」 「ちゃんとしてきたぞ?」 「背中も!?足も!?全部!?」 「あー、したした」 「はい、嘘!ほら玄関に戻って戻って!」 俺と離れている期間に花粉症になってしまったらしい恋人は、花粉によって色付くこの季節に神経質が悪化するらしい。 常に花粉に対して威嚇を続けていて、見ていて面白くもあり心配にもなる。敵を陣地にいれぬように真剣にぱんぱんする姿は可愛らしい 「ほら終わり!まったく、何回言ったら自分でやってくれるのさ琥太にぃは」 が、 全身は悲鳴を上げていたり。そんなに全力で叩かないと落ちないものなのだろうか。疑問に思いはするものの、調べることはしない。面倒くさい。 「すまないな、ありがとう」 頭を撫でてやれば、ぶちぶち言っていた口を閉じて目を細める。この表情が好きだ、猫みたいで。 「…手、洗ってないのに触らないでって昨日も言ったよね」 「はいはい」 口から出た言葉がその人の全てじゃない。 「郁、」 「何?」 だって俺の恋人は、こんなにも可愛いのだから。 「…ばかにぃ」 |