宮地は抱く
私立星月学園
誰でも入学可能なシステムを持つのに、近隣学校に頭1つ抜きん出た偏差値を維持し、尚且つインターハイ常連校。部活動と勉学の両立を目標に掲げ、運動だけ入った生徒・勉強を不得意とする生徒についても全面的バックアップをする全寮制で入るのはらくだが卒業が難しいと有名。
中等部高等部大学部からなり、全て1つの敷地内に校舎が建設されているため幅広い層との交流ができ、精神的成長にもよいという意見も多く聞くが、
「あ、そこの…そうそう、宮地くん。」
高等部から途中編入してきた自分にとっては、あまり住み心地のよい学校ではない。
「はい、なんでしょうか?」
入部当初、総勢50人を超える部員の中で、霞むことなくその存在感を放つ人たちが印象に残った。
「かず…マネージャー見なかった?」
金久保副部長
話したことはまだ1・2回しかないが、物腰の柔らかく弓道の腕もいい。なにより、
「いいえ、見ていませんが」
「そう、じゃあ生徒会のほうかな。報告連絡相談はしっかりとっていつも言っているのに、まったく。きちんと注意しておかないとね。ありがとう。」
優しくても言うことは言うところには、好感を抱く。
不知火一樹
弓道部マネージャー兼生徒会副会長。聞く話のイメージから言えば、何故マネージャーをやっているのか理解できないような人だ。嫌いというわけではないが、不思議な感情を抱いている。
思考をそこで終わらせ、視線を的に向けた。1年が的を狙える時間は少ない。貴重な時間はそれなりに濃いものにしたい。
「おーっす!お、やってるなー1年」
「一樹!」
「おう、誉」
「おう、じゃないよ。僕が何を言いたいか、わかってるよね?」
「…あ」
弾く直前たわいない会話が、頭に強く響いた
ぶれたそれは勿論的を獲ることなく土へと突き刺さる。最悪だった。
何に気を取られているんだ、集中が足りない。そう自分を責める今も、耳は会話を聞き取り、頭の一部はそれを取り込もうとする。
理解ができなかった
これはなんだ
この感じはなんだ
俺は、慣れない高校生活とやらに、疲れているのかもしれない。今日は、いつもより多めに睡眠をとろう。
そうしたら、きっと
明日は元に戻る。
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