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七海
水曜日、ねむたいとごねる体を引きずって、担任が来る前の教室へ

チャイムと共にのろのろと動き始めた集団を抜けて、列となる前の空間に立った。2、3、1年と体育館内で割り当てられている。入学当初は、教師陣の横では遅刻することができないと幼なじみに悪態をついたものだ。
懐かしい春の記憶


静粛を求める教師の声が反響、生徒達のボリュームが小さくなるのに反比例して、俺の心臓音は大きくなってゆく。
副会長が始まりを告げれば、先ほどから視界に捉え逃がさなかった姿が揺れた。

「生徒会長挨拶。生徒会長不知火一樹くん、お願いします」

「はい」

にやけていないぴしりとした表情、普段はだけている肌が見えない襟元、今日も変わらず整えられた髪。

最高に格好いい
堅苦しく長い文を噛まずに、かつ聞き取りやすく話す声は聞けども中身などに興味はなかった。

だってあれは、彼自身の気持ちではあっても彼の言葉ではない。本物はもっと強く、もっと鋭く、皆の胸に突き刺さるものだと、俺は知っている。直線聞いたわけではないが、幼なじみからの確かな情報だ。

自分で聞いたものだったならどんなに良かっただろう。表彰される生徒を収集し整列させている幼なじみ。あいつのことをこんなに汚い気持ちで見たことはなかったのに


あの人に存在を認識して貰えて、名前を呼んで貰って、尚且つ生徒会1のお気に入りだなんて

羨むなという方が難しい

今日も俺は、ただ少しでも長く、少しでも多くと、早起きをすることしかできない。




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