雲のような人
あいつを、何かに例えるとするならば、少し苦しい例え方で皮肉と願望を織り交ぜた結果になる
あいつは、雲のようだ
ふと見ればいつでも近くにいて、眠りを邪魔する日差しから俺を守ってくれる。太陽に例えなかったのは、あの笑顔が性格が、汚い自分にはまぶしかったからだ。そんな自分を直視したくなくて、羨ましくて、そんな皮肉。
本当、大人になるって難しいことだな
堅苦しくぴっちりとしたこの部屋は居心地が悪い。新調したスーツも、固い革靴も。
息が詰まる生活
選択したのは自分である俺だ。なのに、戻りたいと思ってしまう時がある。後悔はしていない、そのつもりだ事実はわからない、認めたくない。
寝不足のせいか、いつもよりも芳しくない思考に休憩を決めた。少しの期待の裏に隠れた気持ち、誰なのだろうか検討もつかない、つける気も、ない。
廊下を歩く度に響く音が耳を突く
求めている音は、これではないからだ。
わかっているのに、ひねくれ者は屋上庭園に向かう。検討違いの場所に向かう。それで?そこにあいつがいたら、俺はどう思う?運命だとときめくのか?安堵をするのか?安堵?何に対しての、
久々に触れるその扉の先には、快晴の空
真っ青の、空
全てに裏切られた気がした
ベンチに腰かけ光を体中で感じる。あたたかい、陽のぬくもり
雲みたいな奴だよ、
お前は
いつでも近くにいると思わせておいて、振り向くとそこにお前はいないんだ。近くに見えるだけ、手を伸ばしても掴むことも、触れることもできない、そんな存在だ。
馬鹿みたいに元気に振る舞って、裏ではたくさん苦しみながら、だけど素顔で笑う。そんな風だから、俺もつられてしまう、流されて、いつのまにか、そばにいないと、物足りなく感じてしまう程に。
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