16


「会長、気持ちい?」

耐えるようにシーツを掻いている手をとって、手を重ねて、自らの太股を撫でさせる。劣情に濡れた会長が視線を擡げた。
そのまま腰のくびれへ移動させながら、会長に覆いかぶさった。


「……ねえ、んっ、俺も、どこでも…触って。……っ好きにして、いいよ」
「っ森谷、」

みずみずしい肌の張った胸板に口付ける。つっと舌で胸の真ん中を舐めれば、すぐ傍の喉がひくりと上下した。
躊躇いがちに、会長の掌が感触を確かめるようにして俺の肌を滑っていく。後ろに与えられる刺激も手伝って、身体中が過敏になる。


「あれ、森谷くん、なんか処女みたいに閉じきってるけど」

二本の指を開くように動かされ、声が跳ねた。肩越しに愉快そうな会計を振り返る。


「お、俺、ぁ、最近ヤってな……ん、ああ……!」
「ふーん……。会長もやってみる?」

ごくりと喉を鳴らしたのはどちらだろう。
もぞもぞと後ろ手をついて半身起き上がる会長を見遣ると、潤んだ瞳は男っぽくなっていた。興奮した雄の目。


「するなら、ちゃんとしたい。これからは俺が抱くんだろう」
「……っ、はい!」

やば……かっこいい。
掠れたその言葉にぞくぞくと痺れた。“これから”があるんだ。もう遠くから見ているだけじゃなくていいんだ。
可愛かったり、かっこよかったり、こんなに俺を夢中にさせる人いない。

初めてのことに戸惑ってか視線をさ迷わせ、「どうしたらいい?」と聞く。
ずっと抱かれる側だったのに、一生懸命に俺を抱こうとしてくれてると思うと愛しくなる。


「えと、じゃ…じゃあ、舐めます」
「なに……、っ、」

了解を得ないまま、胸を撫でていた右手を掴み、指先を唇に運んだ。中指の腹をちろちろ舐める。
血色のいい爪を甘噛みして、ちゅうっと舌で包んで吸い付く。指の付け根まで丹念に、たっぷり唾液を塗りたくった。
何かに耐えて真っ赤になってる会長もいいけど、もっと好きにしてくれてもいいのになと少し不満に思う。


「んう……んっ…ひぁ…!」

後ろから回された指につんと立った乳首を摘まれ、そのまま強くこねられた。


「ぁ、駄目、これやだ……!」
「ほんとに駄目? 会長が触ってくれないから寂しいんじゃなかったの?」
「ん、んや…、ああっあ…」

それでもなお、体内を掻き乱す指は抜かれていない。耳の裏まで舐められ、目をぎゅっと暝る。そのせいで、会長がむっと顔をしかめたのを俺は知らない。
すると唇に宛がっていた指を持っていかれ、縋るような視線を向けて「まだ…」と呟く。
そして、目を大きく瞬かせた。唾液でてらてらになった指を、会長自らも舐めたのだ。
え……えっろ…!
自分のことは棚に上げて興奮するが、すぐにその手を下の方へ持っていかれた。




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