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「はーん……、ああ、そーゆーことねぇ」

納得したように言う会計。そして俺の顎を掴んで、顔についた精液を嫌な顔せずに舐める。辿るような動きが擽ったくて身をよじった。


「……でも俺もさぁ、森谷くん気に入っちゃったんだよね」
「え」
「てか、会長と森谷くんがヤってたら俺が一人ぼっちじゃん。ねえ、二人で攻めちゃおうか」
「な……ちょ、ちょっと! だめ、駄目です! 俺自分でほぐせますから…っ!」

尻をぎゅっと揉まれて、びくっと体が跳ねる。
思わず下を見れば、会計のはイかないままだったのか硬く張り詰めていた。ちょっとてかてかしてるのは、会長の唾液か。


「……とりあえず二人とも、俺の上からどいてくれないか」
「はいはい、こうすりゃいいんでしょ」

会長が後ろに手をついて起き上がりながら言うので慌てて降りようとしたが、また腋の下を支えられる。そしてそのまま会計だけが退いて、とんと背中を押された。
ダイブした先は会長の胸の中だった。
全身を預けるように寄りかかってしまい、目の前が端整な顔でいっぱいになる。少し唇を突き出せばキスできそうなほど。
思考が停止したが、突如顔にどかんと熱が湧き上がった。

「あ」とか「う」とか言葉にならない声ばかりを漏らす俺に、会長はふっと綻んで俺の顔を擦った。


「わるい、汚したな」

精液を指で拭われ、その温かな感触と笑顔に、俺の脳内がオーバーキルされたような衝撃が走った。
首の後ろがぞくぞくして、広い肩に置いた指先がきゅっと疼く。俺このまま死ぬんじゃないか。そんな気さえしてきた。

そのとき、後ろに回った会計が背後から俺のズボンの中に手を滑らせる。
もぞもぞと布の裏側で蠢く手が、下着越しに股間を撫でさすった。


「たってるね」

耳元で囁かれた声は腰が砕けると思うほど低く色気があって、不覚にもどきっとした。
後ろから会計、前には会長。え?何これ。所謂サンドイッチ?

すると会長がおもむろに俺のシャツのボタンに手をかけた。「脱がせばいいのか」と聞く会長を、会計は楽しそうに「そうそう」と唆す。
ぷちぷちと丁寧に外されていくボタン。滑らかな指。会長が、俺の服脱がし…て……
脳が警鐘を鳴らしたように、眩暈がした。


「うわちょ…っや、いやだ、こんなの無理……っ心臓爆発する!」
「ならないならない」
「だ、だだってちが、違うんですって! 俺こんなつもりじゃないって…!」
「もう、なにー。森谷くんは、会長が好きなんでしょ?」

会計がさらっと言う。
それを聞いた会長がまたきょとんとした顔で俺を見た。一度さえ見たこともなかった幼い表情が可愛くて、庇護欲を掻き立てられる。


「俺が好きなのか?」

あ、もう、もう、どうすれば。
当然だと即答することだってできるのに、まごついた情が肯定とも否定ともつかなくさせる。
それよりも、まず言っておかないといけないことがあるんだ。それだけは確かで、ずっと抱えてきたことなのだ。




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あきゅろす。
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