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スッと瞼を閉じ、一度深く息を吐いてからゆっくりと瞼を開ける。

声の方へと足を向ければ、想像通りの人物が目に映った。



「…久しぶりだな、白ひげのおっさん」

「グララ、随分とよく寝てたじゃねェか。てめェが俺の寝床を占領しちまったせいで、昨夜は一睡も出来なかったぜ」


どうやらあの寝室はこの男のものだったらしい。
どうりであの大きさかと合点がいった。


「…別にそこいらにほっぽり出しときゃよかったじゃねぇか」

「仮にも四皇をそこいらにほっぽり出す訳にゃいかねェだろ」

「……仮にも四皇をやすやすと〔海賊王〕の寝室に入れてもよかったのか?」

「グラララ!ガキが減らず口を叩きやがって!」


豪快に笑う白ひげに変わってないなと頭で呟く。
変わったのはおれだけだ。
これが勝者と敗者、主役と脇役の違いだろうか。
ならばおれはそれを受け入れるしかすべがない。

あの敗北以来、諦めという言葉がおれの全てを支配する。



「……ハナッタレ、てめェはエースを恨むか?」

「エース?」


急に出てきた兄の名に、漸くやっと己がここにいる理由を思い出した。


「あぁ…」

思い出した理由がため息となって口から出る。
それは意識せず出た意味のないものだったが、問うた男はそれを返事と捉えたらしく目を細めた。

違うと声を上げようとしたが、弁解するのも面倒だと口を閉ざす。

どうせおれもおめぇも今まで好き勝手生きて来たんだ。
好きに捉えりゃいいさ。


それにしても、エースはどこにいるのだろう?
人の冒険に水を差すような真似、エースは心底嫌っていた筈だ。
そんなエースにこんな事をさせるほど心配させてしまっていたとは。
きっと今ごろ己のした事に責任を感じ、自責の念にかられている事だろう。
エースのせいではないと、心配させてすまなかったと伝えたい。

そして申し訳ないが、船を一艘借りよう。
海は嫌いじゃないが、それでもやはり冒険をする気にはなれない。
幸いまだ遠くにだが陸が見える。
今のうちに船を出せば、数時間あれば浜に着くだろう。

だから、早くエースを見つけなければ。

と。

そう思っていたのに。








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あきゅろす。
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