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1年前、ワンピースをめぐって白ひげのおっさんと戦い、そしておれは負けた。
その瞬間、今の今まで主役だと信じてならなかったおれの人生は、脇役へと変わったのだ。
数々の冒険の中で仲間達は次々に夢を叶え、思い思いの場所へと帰っていった。
みんなが主役を勝ち得て去っていくのを、おれはただただ見送るだけだった。
唯一ゾロが残ると言い張ったが、ゾロにはゾロの人生があるだろうと無理やり追い出した。
これ以上、脇役になったおれを見てほしくなかった。
それでもゾロはしつこく、おれの周りの海を離れることはなかった。
おれはと言うと、白ひげのおっさんの抜けた四皇の座に納まっている。
もっとも海賊王に近い四皇、そんなことを言われても四皇は四皇。
おれがなりたかったのはそんなものじゃない。
〔海賊王〕に負けてから、おれは一気にやる気を失ってしまった。
ワクワクして仕方なかった冒険も、ぞくぞくするような戦いも、底無しだと言われた食欲さえ、どこかに忘れて来てしまった。
海賊王になって返そうと思っていた帽子も、主人の所へ帰ることはもうないかもしれない。
そんな腑抜けたおれの首を捕ろうと集まってくる海賊や海軍達。
抵抗する気もないが、おれの前にくる前にゾロが全て始末しているらしく、あれから一度たりとも戦っていない。
冒険、戦い、食欲。
その三つで出来ていた様なおれが、その三つを失った今出来ることはただ考えることだった。
前までは考える前に行動していた。
だが、行動をやめてしまった今、おれに残されたのは思考のみだった。
それに、考えている間は、おれは紛れもなく主役なのだ。
おれの考えはおれのもの。
おれの考えの中ではおれは脇役にはならない。
その結論が出て以来おれは自分の殻に閉じこもり、毎日何をするでもなく海を眺める。
そんなおれをどうにかしようと思ってか、色んな人がおれの元へと訪れるようになった。
仲間達はもちろん、レイリーやハンコック、ジンベエ、イワちゃん、ローにキッド。
クロコダイルまで来た時は流石に驚いた。
最初の内はひっきりなしにあった来客も、ここ最近は間隔があくようになった。
それでも来ることに変わりはないのだけど。
今はエースが毎日食事と様子を見に来るのが日課だ。
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