まさに女王様
5
ん…
なんだ、呼吸が苦しい。
息が上手くできない…。なんでだ。
脳に響く濡れたような音。
…て
「……わぁぁー!!」
目を開けたら飛び込んできたのは誰かの顔。
今俺キキキスされてた?
「…うるせぇな」
聞き覚えのある低い声が頭上でした。
あれこの声って…
「な、なんでここに…」
目の前にいるのは俺が仕えなきゃならない相手。王様の息子の響、様だ。
なんでここにいるんだよ、こいつが。
しかもなんか俺押し倒されてねぇ?さっきキスしたのってこいつ、だよな。なんで男にキスされなきゃなんねぇんだよ。
「なんでって…夜這い?」
「はぁ?」
「襲いにきました」
「な、なんでお…私なんですか?てか…鍵は」
あぁそういえば王の息子だ。全室の鍵くらい拝借しても大丈夫なんだ。だからこの部屋に入れた、て勝手に入ったらだめだろ。
「あ?お前今のナリみてよくそんな事言えるな」
…今?
そう言われて俺は改めて自分の服装を見返した。長ズボンに半袖、…やべ腕見えてんな。
…
いつも頬やら視界にあたるはずの物がない。
「やべ…」
俺は今桂を付けてない。
女子より短い髪型は、喉仏やら顔を隠せてない。
「…っ痛!」
「お前が男だってことは分かってんだよ」
目の前の男は、顔を近付け嫌味ったらしく笑みを浮かべて、俺の股関を力任せに掴んだ。
思わぬ痛さに声が漏れる。
バレてんだ?やっぱりな。
「じゃぁ何だよ、さっさとクビにして牢屋にでもぶち込めよ」
「なんでこんな事してるか知らねぇが、クビにはしねぇよ」
「……?」
「さっき言ったろ。襲いにきたって」
ヤバい…。
そう思い行動を起こす前に、両手首を持ち上げられ頭上で一つの紐で結ばれた。
「離せよ!俺は男だって分かったんだろ」
「前から男にも興味があってな」
「変態が」
「この街男少ねぇだろ?なかなか機会がなくてよ」
結ばれた紐を解こうと、腕を動かしたが食い込むばかりで取れない。そっちに気を取られてるうちに、指は俺の腹部を弄っている。
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