まさに女王様
4
「その梨でも持って来いよ」
後ろを振り返り帰ろうとした瞬間、呼び止められ心の中で舌打ちをした。
バスケットの中にある一つの果物を視界端に見据える。
「ぁあん…響様ったら、私が持って行きますのに…ふぅ」
「そうよ、菌が移りますわ」
背後でメイド女達が言い争ってる声が聞こえる。あぁもうそうしてくれ。
「いいからそこの女早く持って来いよ」
響様は他の女達の言葉を聞いてか、聞いてないのか気にせず俺に指示をしてきた。微か苛立った口調に、女達も口数を抑えた。
面倒だな。
とりあえずバスケットの中から梨か林檎かを取ると、俺は響様に向かって投げ…渡した。
「……っ何!」
伸ばされた腕は果物を取らずに、俺の手首を掴むと力任せに引き寄せた。
いきなりの出来事に慌ててベッドの柵に片手をついて、倒れ込みそうになるのを抑えた。危ねぇ…俺もこの淫乱野獣達のベッドに突っ込むとこだった。
「…お前、胸ねぇな」
こ、こいつ!
片手は捕らえられ、もう片手はベッドの柵についており両手が使えない。
そんな俺の胸を容赦なくこいつは掴んできた。…いくら胸パッドで隠してるからってな、おい。ただの変態だな。
バレてない、よな?
「ちょっと…私の相手してよぉ」
横から苛立ちの籠もった口調の女は、俺を突き飛ばしてベッドに横になる。
その拍子に掴まれた手は離された。
助かった…!胸小さい女を犯す趣味も無さそうだしな。周りにいるのは全て巨乳ばかりだ。
その機に乗じて、俺はベッドから離れるとそのまま扉まで戻った。
止める気もないらしいし、…てかもう俺から興味が移ったらしいな。
ゆっくりと扉を開いて、何も言わず俺は部屋を出た。
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