【リク】体育祭D*
●しょうじ視点

ピンチもピンチ。人生またとない大ピンチだ。

さっきゆうたにおむつ握りしめられて中身が漏れちゃったときの、内腿を水が伝う寒気。
それもその瞬間はやばかったけど、それが屁でもないと思えるほど、今大ピンチ。

…お腹めっちゃ痛い。

濡れっぱなしのおむつと、ミニスカートの生足で、下半身が冷えたらしい。
もともとおれのお腹はそんなに強いほうじゃない。
退場のときからすでに血の気が引いていた。

応援合戦は、おれたちのクラスの番はもう終わったけど、他のクラスのを観てなきゃいけない。
残りは7クラス、1分間の演技と入れ替わり時間を合わせても10分か15分くらいしかない。
のに、なんだ、この時間の流れの遅さは。
演技なんか観てても全然意識に入ってこない。
たのむから早く終われよ、と願うばかりだ。

鳥肌立ちっぱなしの腕をさすりながら、落ち着きなく座りかたを色々と変えて楽な姿勢を探る。
肛門近くに液状の感触がするので、下手にガス抜きしようとすると身も出そうで、それも叶わない。

腹痛には波がある。
絶望的な激痛にうずくまって堪えたら、しばらく楽な時間がくる。
そのときはなんとか乗りきれそう、と希望が見えるが、ふたたび襲ってくるより強い痛みで、今度こそ無理、と思うのを、かれこれ3回くらい繰り返していた。
もう本当に限界。
トイレに行かせて。
そう言おうと、前に座るゆうたのセーラー襟をつかんだ。

「なに?」

うつむいて息を震わせているだけで精一杯だったが、ギュルルルル…と鳴った腹が、言葉の代わりに伝えてくれた。

「ひょっとして…」

ゆうたは耳元に近付いて

「うんこ?」

おれは半泣きになりながら小さくうなずいた。



立てる?と聞かれたけど無理だったから、ゆうたの肩をかりて、なんとか観客席から連れ出してもらった。
寄りかかるようにして校舎を目指す。
ゆっくりしか歩けなくて、全然たどり着く気がしない。
それでも一歩ずつ進んだ。
力強く支えてくれるゆうたの腕だけがはげみだった。

「ぃだぃ…ぃだ…ぁぁ…」

校舎まであと3mという所で、とうとう最大級の痛みが来た。
足が止まってその場にへたりこむ。
さいわい植え込みが目隠しになって、グラウンドからは死角だ。
もうここなら、と気持ちが負けてしまった。

ギュウウウウー
ブジュルルルルル!!
ムニムニムニムニムニムニ!!!!

声も出せなかった。
大きく口を開けて、ひたすら肺の奥から熱い息を吐き出すだけ。
みるみるうちに泥みたいな大量のうんこがおむつに広がる。
見せパンで押さえつけてるせいでおむつが膨らみきらなくて、すぐにうんこがきんたまのほう、ちんこのほう、と浸食していき、熱い感触がお腹側、背中側両方にせりあがってきた。

ブリブリブリブリ…

おむつの上からも下からも、うんこがあとからあとから溢れて、もはやおむつの意味がない。
ピタピタと音をたてて地面に落ちる自分の下痢便を、どこか意識の遠いところで見ていた。

ブヂブヂブヂ…

出せば出すほど、夢のように体感は楽になっていくのだけど、その天にも昇るような解放感のうらで、悪いことをしてしまった罪悪感に苛まれる。
でも今はとにかく快感に恍惚として、他のことはどうでもいい。
ただ排泄に酔いしれたい。
うんこ、きもちいい。

「大丈夫?」

身体を震わすおれに、ゆうたが顔をのぞきこんで、優しく聞いてきた。
おれの粗相を受け入れているかのような声音に、おれは安心して、うっとりと答えた。

「きもちい…」

目を閉じると、生理的な涙がこぼれた。
まだお腹に残っている汚ないのを出しきろうと嗚咽する。

「ん…。んぅ、はぁ、ぅんち…ッんっ」

ムチュウ…ムリ…

「ぁー、ぁっ」

ブリブリブリブリブリブリッ!

「はぁあん、んんち、ぅん、ちぃい!」

少し息むだけで、また大量のドロドロうんちが噴き出た。
お腹がスーッときれいになっていく感覚。
おむつにおさまるはずもなく、出した分だけ全部、腰のほうに熱いのがあがってきて、ダラダラとこぼれ落ちる。

「しょうじ、ヤバいって、そんなに出したら…。」

「へ…?」

下を見ると、アスファルトの上に立派な沼地が出来ていた。
土の地面ならまだしも、これはごまかしがきかない。
学校のど真ん中で遠慮なく息んで下痢便野グソしてる。
こんなの誰かに見つかったらもう学校来れない。

「ね、もう歩けるっしょ?おれここ掃除しとくからトイレ行ってこいよ」

ゆうたの器の大きさに、きゅーんと胸がしめつけられた。
こいつは素でこういうことができるから敵わない。
いつもはSのくせに、本気で困ったら助けてくれる。
さっきまでただひたすら己の快感を追い求めることしか考えられなかった自分が矮小に思える。

「ありが、と」

小さく、でも心から礼を言って、おれはよろよろと立ちあがった。
動いた拍子にびちゃびちゃと便塊が落ちる。
股の間から太ももを伝っていくのがぞくぞくした。

その場の後始末をゆうたに任せて、おれはトイレを目指した。

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