【リク】わんこわんこA
で、なんでこうなったのか。
それを考えるとおれは頭が痛かった。
夕方のフリスビー対決に、おれは負けた。
罰ゲームとして、ゆうたの命令は、
「今夜、犬になっておれと散歩すること」
全く、非人道的とは思わないのか。
だがしかしおれは、そのあとに付け足された、
「晩ご飯おなかいっぱい食べて、お茶もいっぱい飲んで、トイレには行かないで来いよ」
という条件に、不覚にも胸をときめかせてしまったのだから、とんだ変態だと思う。
結局黙って言われた通りに、約束の公園に集合した。
「お、きましたしょうじくん」
わふっ
街灯の下でおれを出迎えたのは、ゆうたと次郎だった。
「えっ、なんで次郎いんの?」
「出かけようとしたらついてきちゃったんだよねー。しょうじに会いたかったんじゃね?」
くっそー、なんか出鼻を挫かれたっていうか、
ちょっとでもやらしい気分で来た自分が悔しい。
健全に散歩って意味だったのか?
おれの顔に出ていた気持ちを悟ったのか、ゆうたがにやりと口角を上げて囁いた。
「おやぁ?本格的な犬プレイをお望みですか?」
「ちっ、ちが」
「安心しなよ。しょうじ用の首輪と綱もほら、ちゃんとあるから」
差し出された真新しい首輪と綱を目の当たりにして、
安堵感と期待感で胸がどくんと高鳴った。
[<<前*][#次>>]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!