ひと目惚れC
しょうじは、入学式の後、帰るなり顔面からベッドに沈み込んだ。

「(堀井ゆうた!堀井ゆうた!あいつ…!しょんべん見られたやつ…!)」

ぶつけ所のない狼狽。
ぐりぐりと枕に顔をこすりつけて、脚をばたつかせる。

「あーー…」

ひとしきり暴れて、はたと止まる。

なぜだか、心底謎なのだが、ショックではあるが、嫌な気はしない。
むしろ、うれしいような…

「……はっ、いやねえよそれは、ありえねって」

言い聞かせるように頭を振るが、やはり胸はほこほこと熱くなる。

「(きっと、友達として、知ってる奴と再会できたからだ。それだけだから…)」

何事もなかったように振る舞えば、そのうちあんなことは忘れて、普通の友達になれるだろう。
きっとゆうたも野球部に入る。
どうせ会うなら、敵は作らないほうがいい。
厄介事は嫌いだ。

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