ひと目惚れ@
【中1の4月、小スカ】


とある中学校の入学式の日。
ぶかぶかの制服に包まれた新入生たちが、体育館から教室へ。
 
小学校からの面子と、いつも通りばか騒ぎをしていた堀井ゆうたは、教室の奥のほう、頬杖をついてぼーっと虚空を眺める横顔に目をうばわれた。
おぼろげに、少し昔の記憶がよみがえる。

 
小学6年の、多分、夏だった。
となりの小学校の少年野球チームが来て、試合をしたときだ。
9回裏、自分の打順も終わり、ベンチで応援に精を出していた。
相手チームの外野の一人が、なんだか妙な動きをし始めたことに、ゆうただけが気づいた。
できるだけ悟られないようにと懸命にふるまってはいるが、相当限界なのだろう、よく見ればバレバレだ。

「(あいつ、おしっこがまんしてんじゃん)」
 
試合が終わった。
挨拶がすむとすぐにそいつは校舎のほうへ走っていく。
しかし残念ながら日曜日は校舎は開いてない。
もじもじと右往左往する様を見て、ゆうたはおもしろいことを思いついた。

 
「どったの?」

ゆうたが背後から声をかけると、例の外野手はギクッと身をすくめた。
それから、振り向いて気まずそうに目を泳がす。

「え、えと、あ…」
「もしかして、おしっこ?漏れそうなの?」

言い当てられた恥ずかしさに顔を紅くしながら、しかし強情を張っている余裕もない。

「あー、そう。…なあ、トイレって、どこ?」
「遠いよ?校舎をぐるーっと回ってあっちのほう」

ゆうたは気の毒そうな表情で指差す。心の中ではにやけが止まらない。さらにいたずら心が湧いてくる。

「いつもどうしてもしたいとき行く場所が近くにあるけど」
「まじ?そこ教えて」
「いいよ。こっちね」

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