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保健所の人たちは忙しさの合間に、とても親切にしてくれました。
もちろんゴハンはくれました。でも、私の食欲はもう何日も前からなくなっていました。

最初は誰かが私のケージの前を通るたびに、走り寄りました。あなたが考えを変えて私を迎えにきてくれたのだと、願いました。今回のことが全部、悪夢であってほしいと願いました。
そうでなければ、せめて私を気に留め、ここから助け出してくれるだれかが来てくれればと……

しかし、幼い子犬たちの愛情を求める可愛らしい仕草には敵わないと悟った年老いた私は、子犬たちの明るい運命を脇目に、ケージの隅に引っ込み、ひたすら待ちました。

ある日の夜、係員の女性の足音が近づいてきました。
私は彼女の後に続いて通路をとぼとぼ歩き、別の部屋に行きました。

しんと静まり返った部屋でした。

彼女は私を台の上に乗せ、私の耳を撫で、心配しないで、と言いました。私の心臓が、今まさに起きようとしている事実を予期し、ドキドキと鼓動しました。しかし同時に安心感のようなものも感じました。

かつての愛の囚人には、もう時は残されていませんでした。生まれついての性格からか、私は自分のことより、係員の彼女のことを心配しました。
彼女が今果たそうとしている責務が、彼女に耐え難い重荷となってのしかかっていることを、私は知っていたからです…かつて私があなたの気持ちをすべて感じとったようにー。

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