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ゆめ
気付いてよ。/ビスタ



「――それでエースったら私のプリン食べちゃったのよ!?」


「……そうか、そりゃ災難だったなぁ。」




夕方にはまだ早い時間帯の誰もいない食堂で、私とビスタさんはティータイムを過ごしていた。


白ひげ海賊団の船で紅茶好きの私と唯一話が合うのがビスタさんだ。


歳が近くて親友であり、ライバルでもあるエースとケンカすると、決まってこうしてビスタさんに愚痴る。


怒りが納まらない私に対して、
穏やかな微笑みで返してくれるビスタさん。



ビスタさんに話すと、怒ってる自分が酷く幼く感じる。




「…エースったらどうして意地悪ばっかりするのかな。」


「エースはまだガキだからな。」


「…じゃあ、エースより年下の私はビスタさんから見たらもっとガキかな?」


「そんなことはないぞ。

アンナはもう立派な女性だ。」



私のカップに砂糖をいれながらビスタさんはウィンクしてくれた。


末っ子でいつも子供扱いされてる私にとって、それはお世辞であっても嬉しい言葉。




「エースはねー…もうちょっと優しかったらいいのに。

ビスタさんみたいに大人だったら
もっとかっこいいのにね☆」


カップに口を付けながら微笑むと、湯気でビスタさんの顔が歪んで見えた。






「……大人、ねぇ……」


「ビスタさん…?」


「…俺はそんなに大人じゃないぞ。」


「…え?ビスタさんが?」




「例えば……






目の前にいる好きな女性の口から、毎日男の名前が出てくるのは我慢ならない。」





「…へッ?」



「甲板でそいつと一緒に昼寝もしてほしくないし、


夜部屋に遊びに行くのもやめて欲しい。」




「そ、それって……」




ちゅ…





「――ッ!!!!!」






「……鈍いんだよ…。


紳士でいるのも楽じゃないんだぞ?」





そう言って苦笑いするビスタさんは、鳥肌が立つほどかっこよかった。






(そろそろ、こっちも見ろよ)



(いつまで待たせる気なんだ。)
(な、なんかすいません…)
(…これから覚悟しておきなさい。)
(…え?)
(オジサンは独占欲が強い生き物なんだ。)






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