ゆめ
言えるわけない。/エース
「エース隊長!!」
「うぉッ…と、またお前か…」
朝一で俺に飛び付いてくる奴なんて、この船には一人しかいねぇ。
白ひげ海賊団の紅一点、二番隊隊員のアンナ。
なぜか俺の後ろにチョロチョロとついてくる犬みたいなヤツ。
…そんなヤツが気になりだしたのはいつからだったか…
意識し出したら、前まで気にならなかった事が嫌でも目につく。
アンナはいつも薄着。
今だって黒のタンクトップに俺のお下がりの短パン。
そんな格好で誰彼構わず抱き付くもんだから俺は気が気じゃない。
そして、こいつはマルコにも懐いてる。
これが一番ムカつく。
こいつを可愛がっていいのは自分だけでありたいのに…
でもそんなこと言ったら隊長としての威厳が…
はぁーと深いため息を出す俺を、アンナは何も知らない純粋な目で見つめてくる。
「あのね、隊長。
あたし、いつも隊長にお世話になってるから
隊長に恩返ししたい!!!
あたしが持ってる物ならなんでもあげるし、
あたしがしてあげられることならなんでもするよ!!
だからなんでも言ってください♪」
「……なんでも?」
「はい!!なんでも!!」
「………………んじゃ今日のオカズはすべて俺に献上しろ!!!」
「えぇ!!!!…そんなぁ……うぅ……わかりましたぁ…」
予想外だったのか、ショックを受けた様子のアンナをおいて食堂へ向かった。
本当に言いたかったのはあんなことじゃねぇけど………
『言えるわけない。』
(隊長だし、兄貴分だし…)
(お前が欲しい、なんて…!!)
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