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居残り勉強
(スイプリ)




「ちょっと響」
放課後、帰る支度をしていたら奏があたしを呼んだ。どうしたの、と顔を上げるとどこかスッキリしてない表情で、あたしの机の前で仁王立ちの奏。


「なに?どうかした?」
今日は日直でもないし、どの部活にも用はないから早く帰れると思うんだけど。


「どうもこうも……明日のテスト、大丈夫なの?」
明日、と言われてあたしは首を傾げた。何かあったかな…?そんなあたしを見てか、奏はやっぱり、とうなだれた。


「明日、数学の小テストよ?」
あぁ、そう言えばそんなのもあるっけ。思い出した、と笑うと奏は眉をひそめてあたしを見た。


「わかってる?20点以下だったら合格するまで居残りなんだよ?」
不安そうな奏。心配しないで、という意味で笑ったのにあまり伝わってないみたい。


「ま、まぁ…どうにかなるよ」

「ダメ!しっかり予習すれば響は出来るんだから」
奏はあたしの前の席に座って教科書を開いた。問答無用で予習させる気だ…。


「学校でするの?奏かあたしの家でやれば…」

「家だと響は怠けちゃうじゃない」
うぅ…。確かにあたしの家だとマンガとかあるし、響の家だとおやつのケーキが気になって勉強どころじゃないかも知れないけど……。



「居残りしない為に居残りするって……変じゃない?本末転倒っていうの?」
あたしは観念しながら、さっき片付けた教科書を机の上に広げた。


「屁理屈言わないの。……響が居残りだと、私、帰る時一人になっちゃうもん…」
奏は普通にこういう事を言うからズルい。不意討ちだよ、そんなの。
そんな事を言われたら頑張るしかないじゃん。……だって、あたしも奏と一緒に帰りたいから。





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