違う存在 (スカーレットメイコ→←ふわふわコートめーちゃん) 「相変わらず、めーちゃんは人気ね」 ため息混じりに呟くと、めーちゃんは顔を赤らめた。 そんなことないよ、と謙遜するめーちゃん。その謙遜さが人気の秘密なんじゃないかと思ったりもするけど、ゲームをする際に私達の性格なんて反映されるはずもない。 このゲームの現在のプレイヤーは大抵「ふわふわコート」でプレイする。どんなモジュールを手に入れても一切付け替える事なんかなく、ずっと「ふわふわコート」を使い続けている。 MEIKOが好きだというのは嬉しいけれど、やはり1モジュールとして使われないのは悲しい。 「でも、あたし思うんだけど…」 めーちゃんは私の顔をしっかり見据えて、私が顔を上げたのを確認すると言葉を続けた。 「Change meとか激しい感じの曲はメイコの方が似合うんじゃないかって…」 真っ赤なドレスが画面に映えてる、と褒めてくれるめーちゃん。 けれど、ひねくれた私はその賛辞を素直には受け取れなかった。 「……めーちゃんも私もMEIKOなんだから、一緒なんじゃないの?」 少なくともプレイヤーにとっては。 私が投げ遣りな口調で言うと、めーちゃんは弱々しく頭を振った。 「同じMEIKOだったとしても、あたしはあたし。メイコはメイコなの」 いつもは物腰柔らかいめーちゃんが頑なに私の意見を受け入れようとしない。 そうは言っても、画面の向こうにいるプレイヤーにとっては、私もめーちゃんもMEIKOでしかないの。 そう言うと、めーちゃんは悲しそうな…寂しそうな目でじっと私を見た。 「違うわ。あたしはあたし。メイコはメイコよ。……プレイヤーには分からなくても、あたしはメイコと違うもの」 「……」 なんて頑固なの…。私がこめかみを抑えると、めーちゃんは何を勘違いしたのか私の頭を撫でた。 「メイコがいるのは、あたしが知ってるから。……そんな悲しいこと言わないでよ」 泣き出してしまいそうなその表情から目をそらすように、私はめーちゃんを抱き締めた。 「……それだけで、私は嬉しいの」 例え、これから先、私のモジュールが選択されなくても……めーちゃんが私を認めてくれてるなら、それでいいと思った。 ―――― モジュールが違えば別個人、そんなソラさんの考えに刺激されました。 大正浪漫めーちゃんもいいけど、一番はふわふわコートだと思います。 . [戻る] |