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見返りなんて期待しない
「なんなんだ、あいつは!……やはりリベリアンとは相容れる気がしないな」
トゥルーデは部屋の椅子に座るなり、腕を組んでため息まじりに呟いた。
ぶつぶつと愚痴ってはいるけど、その表情は嬉しそう。宮藤やリーネなら怒ってるって思いそうな仏頂面だけど、口元の笑みが隠しきれていない。

そんなトゥルーデを見て、私はいつも思うんだ。



――あぁ、やっぱりトゥルーデは変わったな、って。





「あんなお気楽主義にはルッキーニのようなお調子者が合う。改めて理解した」
1人でうんうん頷いていたトゥルーデは、私に「そうだろう?」と尋ねてきた。

「シャーリーとはよく喋るけど?」
そう言うと、トゥルーデは額に手をあててうなだれてから何か思いついたように私の目を見た。

「そういえば、どんな話をするんだ?」

「なにが?」

「その……シャーリーと、だ」

「私が?」

「あぁ」
少し照れくさそうにそっぽを向いたトゥルーデの頬は赤い。その変化に気付いた私は胸がチクリと痛む。

意地悪しようか、どうしようか、と考えたけど普段見る事のないトゥルーデの表情に、私のイタズラ心は折れた。
知ってる?……今のトゥルーデを恋する乙女っていうんだよ。


「どんなって、色んな話だよ。お菓子美味しかったとか」

「……そ、そうか」
何か期待してたトゥルーデは肩を落として俯いた。私の一言、というよりは私が話すシャーリーの事に一喜一憂しているらしい。


「…あと、トゥルーデの話もするよ」
からかうように、ニヤニヤしながら付け足すと、トゥルーデはすごい勢いで顔をあげた。
あーぁ、なんだよ、その嬉しそうな顔。そんなことで表情を崩すなんてカールスラント軍人らしくないぞ!……って、言ってやりたいね。


「わ、私の話もするのか?……そ、そうか」
嬉しさを隠しきれてないトゥルーデはそわそわし始めた。好きな人が自分のいない所で自分の話をしてるっていうのが、そんなに嬉しいものなのかね。

内心、イライラしているのに気付かないフリをしてトゥルーデに笑いかけた。


「よかったねー、トゥルーデ」

「なっ、なにがだ!」

「いやぁ、べっつにぃ」
トゥルーデは自分の気持ちに気付いてない。私も知らないフリをする。でも、さりげなくトゥルーデを手助けする。


私の思いはトゥルーデに届かなくていい。トゥルーデが幸せならそれでいいんだ……。





――――


天使→お姉ちゃん。お姉ちゃん→シャーリー→ペリーヌと隠れてます。




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あきゅろす。
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