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エンドロールをまだ待っている




あなたの事も、全てもう「思い出」に変わってしまった。

サンジがこの、海上レストランバラティエから姿を消して、もうどれくらいの年月が立ってしまったのだろう。


「ボヤボヤしてんな。早くこれ持っていきやがれ!」

「オーナーゼフ!すみません、今すぐに」


だからこそ今はもうその思い出にすがり付くことしか、私には出来ないんだ。



サンジは料理人としての腕前は十分すぎるほど完璧だった。

食物を粗末にする事は決して許さず、栄養管理や食料配分も完璧。常に新しい料理を作り出そうとする積極的な姿勢は、本当に料理人としても一人の男性としても魅力的なものだった。


元気でやっていますか?
風邪は引いてませんか?


あの時の約束をまだ、あなたは覚えていますか?

あなたの声で、確かに約束をした。







「俺、このレストランを出ることにしたんだ。あいつらと一緒に」

「あいつらって、あの…?」

「そうなんだよ。俺様が居ないと駄目みたいだなあのクソ野郎共!ハハッ」


行かないで


「…そうなんだ。あの人達ならきっと大丈夫だよね。あのクリーク海賊団を倒したんだもん、凄く強かったし、皆いい人達だし。いつ戻ってくるの…?」

「んー、それはまだわかんねーなぁ」


嫌だよ、私を置いて行かないで


「そっか」

「俺がさ、昔話した夢の話し、覚えてるか?」

「うん」


当たり前だよ。サンジが言った言葉は全て覚えてる。
それに、あの時のサンジの目はキラキラしててとても綺麗で、本当に楽しそうに夢を語るその無邪気な笑顔にどれだけ胸が騒いだか。


「そう、俺は必ずあの伝説の海"オールブルー"を見つける!必ず、絶対にだ」

「うん、応援してるよ」


これは本当だよ。私はサンジのその真っ直ぐな瞳をずっと隣で見てきたんだ。誰よりもあなたの夢を願っている。


「オールブルーを見つけたらまたここに戻ってくる。だから戻って来たら………」

「?」

「結婚しよう」


その声で二人、約束をした。








何十年先になるか解らない、もしかしたら死ぬまで見つからないかもしれない。そんな約束を信じて待っている私は、馬鹿なのかな?
でも、あなたなら必ず見つけられるって信じてるから。


あなたからの、
「ただいま」の声を待っているから。




だから、私はまだ、


あなたとの





エンドロールをまだ待っている



企画サイト「はろーべいべー」様に提出させて頂きました。素敵な企画をありがとうございました。



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