駄文
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牧小太郎という名の不良くんに未来の彼氏宣言をされてよく分からないまま気が付いたら新は自分のクラスに戻りいつのまにかぼんやりと自分の席に座っていた。


「あーらーたー!さっきの授業いなかったけどどこに行ってたんだよ?」


がばーっと新に後ろから抱きついてきたのは同室者でありクラスメイトの成瀬 雅(なるせ みやび)だ。

彼……成瀬は季節外れの転入生で二週間前この学園に転入してきた。

外見はさらさらとした黒髪に二重だが涼やかな目元の清楚な美少女なのだが、中身は意外と元気な男子で新と同室となったその日から何かと声をかけてきてくる。
外見美少女で見た目通りおしとやかだったら良かったのだがその清楚な容姿に誰とでも仲良く話すフレンドリーな性格というギャップのおかげか、生活が容姿で左右するといっても過言ではないこの学園ですっかり受け入れられさらには顔と家柄でトップクラスを誇る生徒会のメンバーに気に入られて想いを寄せられているのだ。

しかし本人は全くその気はないらしく彼らと仲良くしつつも答えることはできないときっぱり断っているのだが、自分たちの容姿や家柄に自信のある彼らには納得できない話だったらしく、成瀬にやたらと気に入られている新にそのイライラを地味にぶつけてきていた。

生徒会のメンバーは自分たちに想いを寄せる親衛隊を使い新に対して嫌がらせ等を指示したり、自分達も嫌味を言ったりわざとぶつかったり足を引っ掻けるなど地味で嫌な行為をしていた。

成瀬が悪いわけではないと分かっているのだが新としては彼らの神経を逆撫でするのでなるべく成瀬の側にいたくはない。
しかも嫌がらせや他の行為などされている新の現状にはかなり鈍感な成瀬は気が付かないので、いつも新を構い彼らの神経を逆撫でしていた。



地味とはいえじわじわじわじわと鬱憤も溜まってくる。

もし成瀬に告げ口のような形で言うとすると成瀬は憤慨し正面から彼らに文句を言いその場では解決をするだろう。
しかしその後、逆恨みした彼等の行為がさらにエスカレートしそうなのは目に見えているので成瀬に言うこともできない。

やっかいなことに離れようにも部屋が同室でさらにクラスも同じということで成瀬は常に近いところにいるしやたらと新の側にいたがり、新を側に置きたがった。


「おーい?新ってばー?無視はいけないんだぞー?」


思考に沈んでいた新は成瀬の声でその渦から抜け出した。


「悪ぃ……ちょっと考え事してたわ」

「考え事?何か悩んでるのか?悩みがあるなら俺が聞くよ?むしろ新の悩みなら聞きたいな」


成瀬はそう言い、新に上から抱きついていたのをそのまま横に回り込みさらに身体全体で抱き込んだ。


「ちょ、苦しいって……離れろよ」

「やーだ!新にくっついているの気持ちいいし良い匂いするし、それに新の悩み聞きたいなー」


細い身体なのにやたらと力のある成瀬に抱き込まれると意外と非力な新にはどうするとこも出来きなくなってしまう。
だがされるがままなのもどうかと思うのでもぞもぞと身体をひねり小さな抵抗をする。

自分の腕も中で悶えるような動きをする新を捕食者の目をした成瀬が見ていて、その可憐な容姿とは裏腹に妖艶な笑みを浮かべて声もなく口だけ『おいしそう』と動かしたのを数人のクラスメイトが目撃して身体を震え上がらせていた。




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あきゅろす。
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