長編
2:生徒会室だよ

「ふぃー、取り敢えず風紀に今日提出分だけできたー!」


出来上がったものをプリントアウトしている間に作っておいたカフェオレで一息をいれる。


「ダッシュで風紀に持っていったら今度は各委員会に渡す書類を作らないと〜」


カフェオレを飲みながら次の提出用書類のことを考えてみたけど、文章を作ったりするのは得意ではないのでいい内容はまったく浮かんでこない。

さらにオレそこまでパソコンに強いわけじゃないからひとつひとつの作業が慣れている人に比べて少し……かなり時間がかかっちゃうんだよね。

会長とか打ち込むのめちゃ早かったし…

生徒会が揃って仕事をしていたときのように仕上げなくちゃだめだから、睡眠と食事の時間を削りながらやってるんだけどはっきりいって間に合わないんだよね。


「みんな早く帰ってこないかなぁ」


ふぅ〜と、ため息をついてカフェオレを机に置き、
止まったプリンターの電源を落とし書類を纏め、スマフォを取りだし時間を確認してみる。


「やばっ?!こんな時間だ!すぐ持っていかなくちゃ!」


スマフォを制服のスラックスのポケットにしまい慌てて扉に向かって走り出すと……


ーー何か紐のようなものが足に絡んで……


絡まりもつれた足を立て直すために咄嗟に手で支えようと机に手をかけるけど、ちょうどそこには本来は会長がするはずのファイルが積んであり手がファイルごと滑り体が支えられない……
カチャンという音が聞こえた気がするけど体がすでに斜めに傾いていて反射的に目を閉じてしまう。


そのまま床に思いっきり体を打ち付けたけどさすが生徒会室の最高級絨毯!毛足も長くさらに柔らかく思った痛みもない。


「びっくりしたぁ〜…」


心臓がものすごいドキドキするけどとりあえずよいしょと腕の力で上半身を起こす……


目の前には散らばる書類、さっきまでカフェオレの入っていたマグカップは無残にも二つに割れてしまっていた。


そしてこぼれた茶色の液体で濡れてしまった書類。


さっきのはマグカップが割れた音かぁ〜って!?


「やばい!?すぐにまたプリントアウトして…」


すぐに立ち上がりパソコンに向かうが、オレのパソコンの画面が真っ黒になっていた。


「え?え?…なに?…さっき足に絡んだのってもしかしてパソコンのコード?まじで?!」


一気に体の力が抜けてへなへなと床に座り込む。


「……データ保存するの忘れてた……」


時間をかけてやっと作成できた書類はカフェオレの海に沈み、データは保存し忘れてブラックホールに消えてしまった。


さらに割れたこのマグカップは生徒会の皆でひとつひとつ色違いで買ってきたマグカップで黄色のはオレのだった。


今から書類を作っても風紀に提出のは完全に間に合わないし……

お揃いのマグカップは割れてしまってオレの色だけが無くなった….


自分は仕事も遅く頼りないから生徒会の皆は呆れちゃって来なくなったのかなぁ〜……

自分は生徒会に要らない存在だからお揃いのマグカップは自分だけ割れちゃったのかな〜…

もう三週間もたったし絶対食中毒は治ってると思うし。


バカな考えかもしれないけど、何日もきちんと寝ていない寝不足のオレの頭ではネガティブな考えしか浮かばなくなってまるでそれが本当のように思えてくる。

じわじわと目頭が熱くなってくるのが分かる。


どうせ誰も生徒会室には来ないし我慢しないで泣けばいいんだろうけどなぜか悔しくてぐっと我慢する。


我慢しろオレ!!

オレは男だ泣くもんか〜!



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