長編
A
僕が電波を受信してる前でいたたまれないのか陸太くんは枕を一回転させた。



ん?


ん?



「ちょっと陸太くん枕見せて?」

「はい、どうぞ?」


いきなり枕を貸してと言った僕の言葉にハテナを飛ばしつつ陸太くんは枕を渡してくれた。


表の面には『YES』


くるん


裏の面には『YES』


くるん


表の面にはやっぱり『YES』



「これ『YESYES』枕じゃないやないかーーい!」


僕の声にどんな枕か気がついた陸太くんが慌てて枕の確認をする。
何回か確認してから絶望の表情を浮かべた。


「拒否権がないだと……」

「絶対王政だね……」

「殿中でござる……」

「ごめん陸太くん意味わからない」


明日から毎日色濃く実体化した陸太くんが見えるんだろうな。
萌えていいのか同情していいのか、こんな枕もらっちゃって愛されちゃってるね!と言って笑って済ませればいいのか分からないでござる。

この枕の質感、肌触りすべてを見てもかなりの高級品感と本気感が伝わりなんともいえないでござる。

助けて中村委員長!

ーーームリポ!

両手で大きくペケを作る委員長の姿が見えた気がした。




今後のこと、いや今夜のことを考えているのか呆然としている陸太くんの肩で白いネコが「にゃあん」と欠伸をした。


今日も学園は平和です。

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あきゅろす。
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