長編
@返事は……(辻本くん視点)
「 しんぼる〜♪ しんぼる〜♪ 男のしんぼる〜〜 こいつをつかってぇ〜 こいつでなかせてぇ〜 そのうえこいつが かねをうむ〜♪ 」


僕が歌いながら校舎内を見廻りという名の散歩をしていると真っ白い猫を肩に乗せてちょっと大きめな何かの袋を持ってフワフワ浮いて移動している陸太くんが中庭にいた。

ネコちゃんが猫ちゃんを連れて歩いておるわ!!

かんわいい!ニヤニヤしてまうやろー!


「やっほー!陸太くーん、何持ってるのー?」


二階の窓から手をふって声をかけるとどこから声かけられたのか分からなかったみたいでキョロキョロしてる。
くそぅ!イケメンのくせにかわいいな!


「あ!辻本くん」


上を見上げて気がついた陸太くんがフワフワと浮いて窓から二階の廊下に降り立った。
いつもは歩いていたり地上すれすれで浮いてるからあんまり気にならないけど、こうやって浮いてくるのをみるとほんとにこの子は人間じゃないんだなーってなんともいえない気分になってくるわ。


「いやーわざわざここまで来てもらってありがとねー。で、その手に持ってるなにー?」

「ん?これ?智の部屋のベットってでっかいんだけど枕が一個しかなくてさ、文句いったら智が買ってくれて今から寮に持っていくところ」


そう言いながら笑う陸太くんは文句なしにイケメンさんなんだけど……

ソ・レ・ヨ・リ・モ

それっていつもは腕枕されてるってコトデスカ?

陸太くんの枕は長谷川会長の腕ナンデスカ?

ピギャー!ぴぎゃー!
こ、この興奮を中村委員長に伝えたい!
むしろ伝われ!電波よ駆け抜けろ!


「辻本くん、大丈夫?」

「はぁはぁはぁはぁ……大丈夫!それよりもどんな枕買ってもらえたの?」

「え?まだ見てないからわかんないけど智は特注だって言ってたなぁ」


興奮のあまり息を乱したが一瞬で復活させて、話題をそらす。
陸太くんで色々想像したとは言えないからね!


「へぇ枕の特注って頭の高さに合わせたとか中身がそば殻とか?どんなのか見てみたいんだけど開けて貰っていい??」


天下の長谷川家の特注枕とか気になる。
そば殻はないだろうけど。


「いいよ。オレもまだ見てないからどんなのか楽しみだったんだ」


そう言って廊下でガサガサと包まれていた袋を破り、箱を開ける陸太くん。
包んでいた紙は破る派なのか。

箱には更に薄いカサカサする白い紙に包まれていた枕が入っており、それをべりっと剥がすと枕の全貌がいまここに!!






「ぶっは!やっばい!初めて見た!!」


袋から出てきた枕はいたって普通だったがカバーには

『YES』

どピンク生地に白で文字がリントされてちゃってた!


「やばい!長谷川かいちょーやばい!!」

「…………」


俺が大爆笑してる横で陸太くんは枕を持っていない方の手で額に手を添えてため息を吐いていた。

夜(きっと毎晩)、長谷川に迫られてこれを掲げて答える陸太くんとかまじ萌える!
裏の『NO』とか見せられてあの長谷川会長が落ち込む姿とかワロスワロス。
あの他人にまったく興味のない邪神……いや暗黒会に君臨する大魔王が唯一執着を見せた人間……幽霊の陸太くんに拒否されて落ち込む姿とか見たい!

風紀の力を使って撮影できないかな?

中村委員長お願いします!

ーーいや、俺も見たいけどまだ生きていたいから

天に向かって祈ると中村委員長の声が聞こえた気がした。


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あきゅろす。
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