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一つの長い長いオレンジ色のマフラーを二人で巻き、常に寄り添う黒髪と金髪の少年が二人。
それは朝の登校時だったり、昼の休み時間だったり。要は、いつでも一緒にいるその二人。
いちゃつく姿は微笑ましいというか何というか。
周りがあてられそうなぐらいにピンクのオーラを放つ二人は、絶対に、絶対に、
絶対に、デキてると私は思うの。
あぁ、美少年と可愛い少年の禁断の恋物語ってなんて素敵っ…!
妄想が膨らんで、ご飯3杯はいけそう。
明日もあの二人を視姦しながら、一日を過ごそうと思いました。
追記
私はジュカイでもカイジュでもどっちでも萌えれるわ!
――二人の同級生、某美少女Rの観察日記 vol.3 より抜粋。
※
「……なんだこれは…」
「なんだろうね…?」
学校から帰宅したジューダスの手に握られた、ピンクの可愛らしい厚めのノート。
丸く女の子らしい文字でビッシリと半分以上埋め尽くされているそれは、ぷるぷる震える手に左右に引っ張られ今にもやぶれてしまいそうだ。
そんなノートを可哀想に思ったのか、カイルがジューダスの腕を軽く引く。
「ジューダス、そんなに引っ張ったらノート破れちゃうよ」
「っ…お前はなんでそんなに暢気なんだ!」
「?なんで怒ってるの」
なんで、と言われても…と口ごもるリオンにひたすらハテナマークを浮かべるカイルは、改めてノートを覗き込み「このRとか美少年とかって誰だろね」とこれまた暢気な言葉を発した。
ジューダスからしてみれば、ヒントがありすぎる訳で。
同級生で自らを美少女と言う"R"といえば、…いや、だいたいヒントがなくともこんなことを書く奴なんて一人しかいなくて。…ジュカイやらカイジュやら言う奴も、一人しかいなくて…。
「そもそも、何でこんなものがうちのダイニングテーブルの上にあるんだ」
「このRさんがうちに来たんじゃない?」
「………何しに」
「それはわかんないけど。…あ、それか、」
「スタンが直接貰ったか、だな」
…はぁ〜。
ジューダスの唇から、大きな溜息が一つ室内にこぼれた。
書かれていること自体は特に問題ない。
その事実に対してかなりの脚色がある点(付き合ってるだのピンクのオーラだの…ノートにvol.3、…とあることも)も、自分が勝手な妄想のネタにされていることも、まぁ一億万歩譲って大目に見る、としよう。
ただ。
ただ、ここにそのノートが置かれている、その事にリオンは苛ついていた。
(…スタンは見たんだろうか)
まだ家主は帰ってきてはいないようだが、このノートが一体いつから家にあるのかわからない限り安心は出来ない。
色々と勝手に妄想して書かれている文も、事実を知らぬ人がみればそれは立派な事実となりえる。
(…別に、スタンに学校でカイルと常に一緒にいることを知られるのが嫌なわけじゃない。ただ、イチャついてるだのなんだの…変な誤解されるのが嫌なだけで…)
そこまで考えて、ふと隣のカイルを見る。
……と、まじまじとノートの中身を読んでいた。
「あれ?なんかこのページ、一番上に『R18』って書いてあるけど、Rってな――」
「貸せっ!!!!!!!!」
「えぇっ!!?」
カイルが言葉にし終える前に強引にノートを奪い取ったジューダスは、ものすごい形相でそのノートを破り捨てた。
それを見たカイルは固まってしまう。
何するんだよ、まだ読んでる途中だったのに、なんて言える顔じゃなかった。
「ジュ、ジューダス?」
「……、んん"っ…」
「………」
「…あれだ……Rっていうのは、つまり…そう、美少女RのRだ。18人のRが登場する話で、読むと呪われるという伝説がある」
「………へ、へ〜…、そう…なんだ」
いくらなんでもそんな意味の分からない嘘にひっかかるカイルじゃない。R18の意味は本当にわからなかったが、必死に取り繕うジューダスにぎこちない笑みを返すのが精一杯だった。
「もうこの話は忘れろ。さっさと宿題をすませるぞ」
「あ…、うん!そうだね、兄さんが帰ってくるまでにやっちゃおっか!」
破り捨てられたノートがゴミ箱につっこまれるのを横目で見ながら、カイルはジューダスに続いて自分の部屋へと足を向けた。
(…明日、リアラにR18の意味を聞いてみよう)
そう、ひっそり思いながら。
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叔父の心、甥知らず/(^q^)\
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