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怪盗あらわる!?
よん


部室棟の屋上へと続く階段に足を踏み出す。
この先に万研究同好会の部室がある。
部室とは言っても、屋上に出る扉の向かいにある、空き倉庫を使っているらしい。

最初聞いたときは、こんな所に部室なんてあるのかと耳を疑ったが、実際に目の前にしてみると思っていたよりも普通だった。
その感想を言ったとき、由乃さんに「どんな所を想像してたの」と呆れた目で見られてしまった。

どんなって、薄暗くて、怪しい雰囲気のする(薬品の実験とかしてそうな、むしろ魔女の館みたいな所を想像していた)…とは賢明にも口にしなかったが。

扉の前に着く。

ゴクリ、と一度唾を飲み下し、扉をノックした。


「はい?」


数秒後、返答があった。

ガチャリ

扉を開けて出てきたのは綺麗な女性だった。
艶のある黒髪を頭の上の方でお団子にして垂らし、黒い瞳は目尻が下がっていて柔らかそうな印象を受ける。
可愛いより綺麗という表現がピッタリな人だ。


「何かご用?入部希望者、ってわけじゃなさそうね」

「あっ、山百合会より参りました。福沢祐巳です」

「ええ、知ってるわ。そちらは白薔薇様と黄薔薇のつぼみでしょう?この学園に知らない人はいないわ。それで?山百合会の方々が何の用かしら?」


表情を変えずに淡々と話を進めていく。
柔らかそうな雰囲気に反した冷たい対応に、戸惑いながらも慌てて話を続けた。


「えっと、こちらは万研究同好会でよろしいでしょうか?」

「ああ、こちらの紹介がまだだったわね。私は万研究同好会部長の式部マモルです」


「あのっ、噂でこちらで最近の盗難事件について調べていると聞いたんです。それで詳しくお話を伺えないかと」

「悪いけど、話すことは何もないわ。他を当たることね。それでは失礼」


そう言うと、もう用はないと言わんばかりに扉を閉められてしまった。
三人とも呆気に取られる。
とりつく島もない、とはこのことか。

しばらくの間、呆然とドアの前で立ち尽くしていた。





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あきゅろす。
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