怪盗あらわる!?
さん
聖さまたちが帰った後、由乃さんを筆頭に薔薇の館の住人がぽつぽつと集まりはじめた。
頃合を見て、祐巳は先ほどのことを一通り説明した。
「それ、たぶんヨロ研のことじゃないかな〜」
しばらく考えるような仕草をした後、そう切り出したのは令さまだった。
「ヨロ研って?」
「万研究同好会。名前の通りの同好会だよ」
由乃さんの質問に簡単に返す令さま。
そこに志摩子さんが挙手をして会話に加わる。
「去年の学園祭で喫茶店をしてたところじゃないかしら。紅茶とちょっとしたお菓子だったのだけれど、とてもおいしかったから覚えていたの」
紅茶とお菓子かぁ。
志摩子さんがそう言うのなら本当においしかったのだろう。
私も行くんだったとちょっと後悔。
…‥あれ?
「万研究同好会がどうして喫茶店を?」
「部員の一人が紅茶の研究をしているんだよ。喫茶店はその研究成果の発表じゃないかな」
なるほど。
「紅茶がおいしいのはわかった。それは別にいいのよ。私が聞いてるのは、その万研究同好会と聖さまの言葉とどう関係があるのかってことよ!」
由乃さんがテーブルに身を乗り出して令さまに問い詰める。
そんな由乃さんを落ち着かせようと、令さまは話し出した。
「私もよく知らないんだけどね、噂で聞いたんだ。ヨロ研に頼めばどんな問題も即解決って」
「つまり?」
「探偵みたいなことをしているらしい」
「一同好会が?」
「だから私もよく知らないんだって。あくまで噂だから」
そこまで聞くと、皆それぞれ考え込んでしまった。
今、令さまが言ったことはあくまで噂なのである。
とはいえ、火のないところに煙は立たず、とも言うし、、、
そんな中、沈黙を破ったのはお姉さまだった。
「確かめる必要がありそうね」
その一言から、あっという間にあれよこれよそれよと話が進み、祐巳、由乃、志摩子の三人が万研究同好会に真偽を確かめに行くことになった。
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