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怪盗あらわる!?



何でも、先程可愛い後輩に差し入れをと思い、お菓子をテーブルの上に置いて行った。
しかし、名前を書いてなかった(それでも良かったのだが、何だか気になった)ため戻って来てみると、置いて行ったはずのお菓子が消えていたらしい。


「あっ、私が食べたわけじゃないからね。それは彼女が証人」


と、加藤さんを見る。
もしかしたら、と思ったのだが違うらしい。
そうなると、誰かが聖さまたちが行って戻って来るまでの間に持って行ったってことか。


「ああ〜〜!!」


突然大声をあげた祐巳にびっくりしたのか、何事かという顔で見ている。
意外なことに加藤さんも 瞳を見開き、こっちを見ていた。


「ど、どうしたの?祐巳ちゃん」

「あっあの!もしかしたら怪盗KIDかも!!」

「「怪盗KID!!?」」


加藤さんと聖さまの声がハモった。
それが嫌だったのだろうか加藤さんは冷たい目で、聖さまは満面の笑みで互いを見合わせた。
先に顔を逸らしたのは加藤さんだった。


「それで?どういうこと??」

「最近、校内で盗難事件が多発してるんです。机の上に置いてたお菓子やロッカーに入れてた体操服が無くなってたり、ということがよく見られるようになって。しかも、誰も犯人を見たことがないから“怪盗KID”って、みんな呼んでるんです」


怪盗KIDとは、宝石専門の神出鬼没の怪盗で、キザなセリフや演出をするため女性ファンが多いらしい。
ここ、リリアンにもKIDファンが多く、かく言う祐巳もその一人である。
とは言っても新聞やテレビで追っかけるぐらいなのだが。

とにかく、犯人が神出鬼没なことからそう名付けられたらしい。
夢見る乙女な年頃なのだ。


「へぇ〜なるほどね。ねぇ、調べてるのって先生たちだけ?」

「う〜ん、新聞部が捕まえようと躍起になっているみたいですけど」

「それっていつ頃から起きてるの?」

「えーっと、確か二週間くらい前からです」

「二週間か、、、」


そう言うと、聖さまは少し考えていたようだが、立ち上がりドアに向かって歩き始めた。


「じゃぁね、祐巳ちゃん」

「えっ?帰っちゃうんですか!?謎も解けてないのに」

「うん。たぶんそろそろ解決するんじゃないかな、もしかしたら解決してるかも。餅は餅やって言うでしょう?あのコたちに任せておけばいいよ。じゃあね〜」


と手を振りながら、呆気なく去っていった。
加藤さんも聖さまの後に続いた。


「祐巳ちゃん、紅茶にはクッキーよね」


その一言を残して。
残された祐巳はというと、その言葉の意味を考えるが結局無駄に終わり、頭の中だけでなく、目も?になっていた。
そしてそれは山百合会のメンバーが揃うまで続くのだった。





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