遭遇一階踊り場
「あっ大地〜やほーぃ」
「半井…と高原」
「おう」
「何ゴミ捨て?お疲れちゃん」
ゆきると別れた後、教室へ戻る道すがら大地は同じ委員会に所属する半井と高原に出くわした。先程彼女に当番代打を告げられた事を思い返し、大地は兼部の半井はともかく帰宅部かつ委員長の高原まで何故、と双眸を細めた。
「なぁ今日委員会の当番の奴が休みとか言われたんだけど」
「えっ」
「あー…」
『……………』
「お前ら…」
「うっわごめーん大地が代わりかぁ!違うんだよホントやむにやまれぬ事情がね!? ねっ稀然!」
「…すまん岡山」
気まずい沈黙に耐え兼ね半井はぱんっと大地に合掌し、高原も申し訳ないと詫びる。三人が所属する委員会における主戦力とも言える二人が揃って休むのは、何も今に始まった事ではない。
むしろ彼らが休みを取ってまで人知れず為している某かの方が余程重要で意義深い物であるのは解る、しかしだ────
「いい加減俺だって怒る。今月入って何回目だ畜生」
「ごめんマジごめんでも世の為人の為なんだよー!今ちょっと結構割とヤバい感じのアレがそれして…!」
「神夜、意味解らん」
結局要領を得ない二人に諦めも底を尽いて、大地はたっぷりと溜息を吐く。まあ、もし本当に理不尽な交代願いであれば副委員長のゆきるが黙ってはいないだろうから、やはりそれ相応の理由あり、と言う事なのだろう。
「…今に始まった事じゃないが…俺だっていつも暇持て余してる訳じゃな…」
「いやいや大地はいつもそう言って手伝ってくれるし。超良い奴」
「そうだな、最終的に時間を作ってくれんのはお前しかいない」
「…高原」
「稀然もっと全力で褒め称えないとさぁ…大地くんマジ良い奴!寛大!仏!天使!? うわごめんなさい殴らないで殴らないでっ」
「半井のノリは大気に似てなんかイラッと来る」
「横暴だよー!」
言われた内容より兄に似た物言いへの苛立たしさが勝って大地は半井を引っ叩いた。なんとなく殴り易い、そんな顔をしてるとも思う。
「岡山悪い今度ジュース奢る」
「…稀然、だからって炭酸買ったりしちゃダメだかんね」
「? 何故だ?」
「世の人間が一人残らず炭酸愛好者だと思ってんのかこの炭酸中毒ー!大地っ稀然に飲み物買わせちゃダメだいや冗談抜きで!」
「俺はお茶派だ高原」
「ほらー!」
「………そうか」
「高原がガチ凹みだぞ半井」
「たまには良いんじゃない?じゃあ大地ごめんあと宜しくー」
(あいつらが委員会を休むと次の日必ず怪我して登校する)
(どうしたなんて訊かないけど)
(だから何も言えない)
お大事に、と先に言っておく
学校でのあいつらはこんな感じ。
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