05.
―――――
『はあ…』
さっきのチャイムでやっと午前中の授業が終わった。
いそいそとお昼ご飯を鞄から取り出す。
「のうお前さん」
『何』
「一緒に食べる奴は居るんか?」
『うん!
ほら、あそこの二人が誘ってくれたんだよ!』
「(何じゃ、目が輝いとるのう)
そうか。一緒に食べてやろうと思ったんじゃが残念じゃな」
『あはは、ありがと―。
あ、そうだ。一緒に食べたいなら皆で食べれば良いんじゃん♪』
「は」
『ねぇねぇ友達Aちゃん達。仁王が―』
「ちょい待ちじゃ栗木田。俺は良いぜよ」
『? 良いの?』
「おう」
『変な仁王―。
じゃ、また一緒に食べたくなったら言ってね』
「ん。またな」
お弁当を持って友達Aちゃん達のところに行く。
午前中の授業で、仁王のイメージは結構変わった。
チャラそうだけど、良い人で、
色気を無駄遣いしてるけど結構可愛い。
訂正。
半端なく可愛いです。ヤヴァイ。
『お邪魔しま―』
友達A「ようこそ―」
友達B「これから宜しく」
『あ、こちらこそ―』
…緩い。そして温い。
だけどいい感じの二人である。
何か癒されるなあ、と思いながら行きの途中で買った飲み物を喉に流す。うまし。
「仁王先輩!丸井先輩!!」
『ブフゥ!!』
「「栗木田(ちゃん)大丈夫!?」」
吃驚してげほげほと咽る。
机に吐かなくて本当に良かった。
『誰だ今さっき叫んだ奴っ………ワカメ!!?』
「誰がワカメか!
―あ、アンタは今朝の!!」
犯人はワカメでした。
ワカメ少年の居る処(仁王の机んところに居た)に足を運んで話しかける。
『やあ少年。今朝は間にあったかね』
「お陰さまで遅刻だ!
え、アンタ何で此処に居んの!?」
『少年、私は君よりちまいがこれでも12カ月早くこの世を知っている』
「わかりにくい言い回しじゃな」
『敬語を使って頂きたい』
「く、……栗木田…先輩」
『わんもあぷり―ず』
「栗木田…先輩」
『わんもあぷり―ず…!』
「しつこいっス」
『いや、すまないな少年。
先輩呼びなんて初めてされたもんだからつい…』
「うっそマジで」
あああ、憎らしいぜんざいの精霊の顔が蘇ってくる。
可愛い後輩でもあるのだが、私を杏子ちゃん呼びするのだけはやめて頂きたい。
私は年上です。
『私は感動した…。貴方みたいな人が居るだなんて…』
「…はぁ」
「ククッ…」←仁王
『君を尊敬の念を込めて呼ぶ事にしよう。
えっと…………海藻君』
「切原っス」
『嗚呼、そんな名前だったね』
「覚えといてくださいよ…」
「何じゃ、二人とも知り合いか」
『おうよ。道に迷った私を助けてくれた親切な少年だよ』
「捕まったから授業遅刻したんっス…。疫病神が」
『少年ヒデェ!!』
友達A「なになに―?栗木田ちゃん切原くん達と知り合いなんだ?」
『そんなもん』
友達A「やっぱりナマ超可愛い!
今日栗木田の友達になった友達Aです♪宜しくね!」
「…ども」
『くぉら!女の子が話しかけてんだからもっと愛想良くしなさい!たるんどる!!』
「ちょ、仁王先輩。こいつマジで何なんスか」
「面白いのう…栗木田」
「(あ、仁王先輩も駄目だわ)」
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