03. side Bunta
「遅いよなあ、転校生」
「じゃのう」
「…にしても、可哀想だよな―。
教卓の前だぜ、真ん前」
「んま、俺等に挟まれてる事が唯一の救いナリ」
「……なあ、頼むから先生の前で堂々と話すの止めてくれないk」
―ガラガラガラっ
『失礼します、此処3-Bですよね?』
うわ、何だあいつ。
あ、もしかしてあいつが転校生?
ふぅん、結構可愛いじゃん。
……あれ、あいつどっかで。
「っあああ!!!栗木田!!」
『うわやだ肩掴まないでください先生キモイです!!』
「お前どこに行ってたんだ!先生探したんだぞ!」
『ごめんなさい、先生。
……私、地図が読めないんです』
「……方向音痴なのは聞いていたが此処までとは」
クラスメイト「せんせ―ぇ、その子が転校生ですか―?」
「そうだぞ―。ほら、自己紹介しなさい」
『はぁい。
えと、大阪から転校してきた栗木田杏子って言います。
短い間ですが、宜しくお願いします』
ぱちぱちと周りから拍手が聞こえる。
クラスのムードメーカーなんて"宜しくな!"とか叫んでるし。
取り敢えず俺も拍手しておく。
はい、ぱちぱちぱち―。
「じゃあ、栗木田はあそこの席な。
教卓の真ん前だ!」
先生が俺と仁王に目配せした。
馴染みやすいようにしてやれってか。
「シクヨロ」
軽く手をあげていつものお決まりポーズ。
ウインクぱちーん。
どうだ惚れただろぃ。
『うげっ』
おいちょっと待て。
そのあらかさまな嫌そうな顔はなんだよぃ。
栗木田は俺らの席の真ん中に座った。
すっげぇ嫌そうな顔してる。
鞄から筆記用具とか出して一切目を合わせない感じで頬杖をついて不機嫌そのものって感じで黒板を凝視。
「な―、俺丸井っつうんだけど。
何?シカト?」
『栗木田。
別にあんたの事知ってるし』
「俺のファンな訳?」
「違うじゃろブンちゃん。
俺のファンじゃからブンちゃんの事も知っとるんよ」
『仁王のファンでも丸井のファンでもない。
ただ顔と名前を知ってるだけだし。
あたしあんた達には興味ないから、他の女子に媚び売れば?』
「ちげ―よ、よって来るんだよ」
『そして女遊びなんざ初めてみろ。
あたしが迷わすお前を断罪してやるからよ』
「何じゃ、面白いヤツじゃのう。気に入った。
親睦の証に握手じゃ」
先「その前にお前ら三人廊下に出とけ。
お前らのせいで授業が進まねぇ」
『えっ嘘!!
ヤですよ、何で転校早々廊下行きなんですか!!』
「お前ら声がでかいんだよ。
早く行け」
『丸井と仁王のせいです!!
丸井と仁王が構ってぇって言うから相手してやってるだけです!
私何も悪くありません!!』
「はあっ!!?
人が折角仲良くしてやろうってのに何だよお前!!」
『黙れやナルシストが!!
何か知んないけどちょっとモテそうだからって調子のんなよ!!』
「良いから早く出なさい」
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