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慟哭



私はまだ第二社内秘の取り扱いすら許されていない。中枢にいながら、私だけが除け者だった。

私は殊更、恥をかかされたように感じ、無言で席を立った。親父がこうやって私の立場をないがしろにするから、誰も私を重要な人間だとは感じないのだ。
その日纏める筈だった資料を片手に、何でもないような顔で部屋を出て行こうとすると、セフィロスに腕を掴まれた。

「待て…プレジデント、私はルーファウスもこの会議に参加するべきだと思う」

皆が驚いた。特に私自身が誰より。

「ルーファウスを…? 必要があるのか」

私はセフィロスに腕を掴まれたまま、親父を見つめた。親父の一言一言が、胸に刺さる。

「今回のジェネシスの問題……アバランチの均衡が破れるのに必ず影響してくる。内戦になった場合、タークスにも作戦に出て貰わなければ…ルーファウスが適任だ」
「適任?」
「我々、1stはジェネシスに掛かりきりになるだろう。ルーファウスにアバランチ壊滅を任せる」
プレジデントは押し黙った。
「ルーファウスはまだ子供だ」
「子供ではないっ、」

思わず叫んでいた私をセフィロスが抑え、ゆっくりと次を続けた。

「……ルーファウスは紛れもなく神羅の重要人物だ。それはプレジデントが一番よく分かっているだろう。ルーファウスにとっても、そろそろ本物の敵と向かい合ういい機会だと思うが。それに何より、私は彼を見込んでいる──」





会議の後、私は部屋に駆け戻って、「やったぞっ」と叫んでいた。
ガラス張りの執務室の高台から、私のミッドガルを見渡す。深呼吸をして、まだ震えそうな歓喜に頬を染める。

ざまあみろ。
親父の顔。幹部たちの呆気に取られた顔。
やはりセフィロスだ。私は大変なカードを握ったんだ。
親父でさえ、セフィロスの意見には耳を傾ける。他の幹部連中は言わずもがなだ。

「ジェネシスが神羅から脱走したとはな……お陰で第二社内秘のキーをようやく貰える。私はアバランチ壊滅の総責任者だ」

笑いが込み上がる。久しぶりに溜飲を下げて私が満足げに景色を見つめていると、今や秘書気取りのレノが部屋を覗いた。

「若社長、プレジデントが来たぞ、と」

あいつは、言葉使いを直さないのか。






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