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慟哭




こうして私の瞳は、セフィロスと交わる度、徐々に青色に変化していった。

「ソルジャーの印し……」

私は鏡を覗き込み、畏怖の眼差しで自分の中にいるセフィロスを見つめた。
ただ、嬉しかった。
私はセフィロスに選ばれた。私の中にセフィロスがいた。








「レノ、1st(ファースト)はいつ帰って来る」

苛々と眠れない夜を過ごした翌日、私は腕を組み、威嚇するようにレノを問いただしていた。

「えっ?」

レノは困ったように頭を掻く。

「オレは──新米だから分からないぞ…と。何か現場で色々あったみたいだけど……若社長には情報、入ってないの…かな?」
「知っていたらお前になど聞く必要がない──現場で揉め事か?」

何時にも増して機嫌の悪い私に、心底閉口してるようにレノは、口ごもった。

「あー…ソルジャーの考える事はよく分からない。ジェネシスが……いや、オレが言ったなんてバレたらヴェルド主任から怒られるぞ、と」

逃げようとするレノを、捕まえた。

「私を誰だと思ってる。神羅の副社長だぞ。──レノ、情報をくれたら好きな物をやろう。何がいい。何でもいい、言ってみろ」

レノは吃驚したように私を見つめたが、すぐに視線を反らせた。

「全く──うちの若社長は頭がおかしいぞ、と。"タークス"は神羅に忠誠を誓ってるんだ。それはプレジデントへ誓ったものでもあり、若社長に向けたものでもある──」
「なら、」
「若社長! だから! オレらは任務に忠実でなくちゃならないんだ。あんたが死ねって言うならいつでも死んでやる。その日の為に任務を無事、遂行するんだ。情報はその内、漏れてくる。オレを"買う"みたいな言い方、頼むからよして下さい」

私は憤慨するレノの顔に、この時初めてまともに向き合ったのかもしれない。

「レノ…お前は絶対、転属願いを出した方がいい」
「え」
「まともなのか馬鹿なのか……タークスには似合わない」

こいつは裏の工作を請け負うタークスには似合わない、と思った。

「……イヤですよ。この制服、気に入ってるんだぞ、と」

いつものすましたレノの顔に戻って笑った。
私もつられて笑いそうになったその時、執務室のドアが開いた──。






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