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慟哭




ドサッと固いベッドに置かれて、私はまだふてくされたように涙を流し、彼を睨もうとしていた。
暗闇の部屋の中、セフィロスの口が片方に上げられ、確かに笑ったのを覚えている。青い彼の瞳が光った。

その顔を見ただけで、それだけで限界だった。抵抗する気なんて最初からなかったのだろう。

身体中の力が抜け、私は仰向けに目を瞑ったように思う。


──セフィロスの髪が首筋に触れるのが、とても自然だった。彼の呼吸の小さなざわめきが、肌にそっと刺激を与えるのさえ、とても自然だった。
何故今、セフィロスと唇を合わせているのか全く不思議に思わない程、一瞬後には夢中で彼の唇を貪っていた。

セフィロスの唇は氷のようで、灼熱のようで、次々に私に目まぐるしい刺激をくれた。

脱がされた服はあっという間に床に落ち、私は代わりにセフィロスの豊かな銀髪の海に漂っていた。


「あ、ぁぁっ」


小声で首筋を這う彼の唇に呼応する。肌を舐められて快感を覚えたのは、この時が初めてだ。
抗えない、しかし浮かび上がりたくて、必死に息をする。


「ルーファウス……私を受け入れるか、拒絶するか──お前が決めろ」

なぜ今さらそんな事を耳元で聞かれるのか理解出来なくて、私は朦朧と頷いた。


「セフィロスが…欲しい…貴方だけでいい…他に誰もいらない……」


目の端に涙を浮かべながら、その時は本心からそう思った。私のまだ完全に大人のものになっていないペニスは疼いて疼いて充血して立ち上がり、オス特有の匂いを放っていたが、身体の欲求だけで彼を求めた訳ではないと、今でも断言出来る。
ソルジャー1st。世界の頂点にそびえるセフィロス。手の届かなかった彼を手に入れられるのならば、その時の私は何でもしただろう。


彼は性急であり、激しかった。うつ伏せでずっと固く瞳を閉じていた私は、彼がどんな顔で私を抱いたのかは知らない。彼の私への感情を、見たくなかったのかもしれない。笑っていたのか、表情一つ変えなかったのか、彼が居なくなった今では永遠に分からない──。


「あ! ぁぁっ!」


足を広げ、後ろから彼に大きく侵入され、私はシーツに突っ伏し叫びをこらえた。
確かに激痛しか感じないのだが──それなのに余りにも彼に溺れすぎて、私は自ら腰を振った。
セフィロスが呼吸の速度を上げるのが分かった。嬉しかった。無言で律動を繰り返す彼に、ソルジャーとは身体の快楽とは無縁な存在なのではと心の何処かで恐れていたから。また、もし自分の身体が、彼に快楽を与える程の物ではなかったら、立ち直れないとさえ思える恐怖感があったから。

激しく長く続く激痛に、身体も神経も青ざめ、脂汗が出てきた時、セフィロスのペニスがようやく精子を放出した。
それは、痛みを幸福に変える事が出来た唯一の瞬間。セフィロスの白濁は私の中にひどくゆっくりと、種付けられた。恐らく裂けていた入り口の傷の血と混ざり、一生消えない彼の痕跡を私に残した。セフィロスからの未だ消えない、ただ一つの贈り物──。

ソルジャーの"青"。







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