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慟哭



執務終了前に、新しい情報の更新はやったはず……コンピューターの明かりの前で、私はモニターを凝視した。

『ソルジャー1st別(任務ファイルNO.167)現在最新情報
:任務地 表示エラー
:任務内容 表示エラー
:任務統括責任者 ジェネシス 他4名同行
:任務遂行日 表示エラー
:任務完了 変更追加

:』

「"任務完了"が、変わっている……」

私が自分のコンピューターで見れる社内の情報は、まだ第三社内秘扱いになっている物だけだった。
ソルジャー1stの関わるいかなる任務は、第二社内秘扱いになっている。ソルジャー1stが今、どこで何の任務に就いているのか、いつ発っていつ帰るのか、このコンピューターでは断片的にしか知る術がない。
“副社長“と周りに私を呼ばせても、親父は会社の大切な情報を私には隠している。

私は今さらながら、この情報を私に知らせたレノを思い起こし、非常に嫌な気分になった。
一介のタークスが、私が一番知りたかった情報を告げに来た。


「何のつもりだ……新米タークス」


舌打ちをしながら回転イスを回し、背後の神羅カンパニーから見下ろすミッドガルの夜景を見つめた。

【NO.167】の任務にセフィロスが就いている事は、本来の私なら知る筈がない情報だった。
だが私は知っている──。彼が教えてくれたから。セフィロスが、私自身に教えてくれたから。

私はガラスに拳をあて、歯軋りするように苦痛を押し出した。

“やっと今日、逢えると思ったのに……任務か!“

苦い塊が胸の奥で唸りだす。

“たかが任務一つに1stが何十日かかってるんだ…ジェネシスを統括責任にしたのが間違いだ“

爆発しそうな癇癪を抑え、私は目を瞑りそのまま呼吸を深く続けた。感情を押し殺すコントロール訓練──これは日常生活にも役に立つ筈だ。


そのまま三分くらい俯いていたが、まだ赤く辛辣に歪む顔を上げ、私はとうとう息を吐き出した。

「──セフィロス、命令だ。早く帰還しろ」


ミッドガルの夜景は冷たく静かに、何の返事も私にくれはしなかった。






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