2 目が覚めた後、自身の手で傷ついた相手を見るのも その相手に恐怖のまなざしを向けられるのも その全てが柴にとって苦痛だった 柴と正一は夢の中でのみ会話を交わすことが出来る 完全に分離した固体として、夢の中では存在することが出来るのだ その夢の中で何を正一に言ったところで無駄だったのだが 自分はこのままでは誰とも関われない、そう言った時正一は笑顔で言ったのだ どうせ死ぬときは、一人じゃないから安心して? その言葉を聞いた時柴は理解してしまった これは正一の無理心中なのだと 自分意外とは誰とも最期を迎えることは許さないという宣告 人間は死ぬときは一人だとよく聞く だが自分は、自分達は一緒なのだ 死ぬ最期の瞬間まで それに柴は半分の安堵と、半分の絶望を感じた どんな時でも一人にはならない、けれど誰とも幸せにはなれない そう、諦めていた だからこそあの時07に怖くはないのかと問うた時に07の戻ってよかったという言葉に救われた 正一、という人間ではなく自分を、自分自身として見てくれた 脅えずに笑って接してくれる07 今更になって諦めようとしていたものを諦めきれなくなっている [*前へ][次へ#] |