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205は首を振ると言葉を続けた

「これだけは譲れねェんだ...」
「...約束を守るのと彼女を忘れるのは別だ、彼女とてお前を縛りたくて約束をさせたわけではないだろう」
「...分けて考えられるような器用な頭してねェんだよ俺ぁ」

目を伏せながら言う205を見つめ署長は考え込んだ

どうして人はこうもやっかいな想いを抱えてしまうのかと

自身もかつてそうだっただけに忘れろなどと言いつつもそれが簡単ではないことは知っている
けれど言わなくてはならない

署長には大切だと思った相手を守りきれなかった過去がある
その人物を失った後忘れようと結婚をし、息子も出来た

それでも想いを捨てきれず、結局今は独り身だ
独りでいるのが辛いわけではないが決して幸せだとも思っていない

出来るならかつて愛した人の"忘れ形見"である205には幸せになって欲しかった
守れなかったことに対してのせめてもの償いだ

感傷的な気分に浸るのはあまり好まない
話を変えようと署長は205に言う

「...まぁいい。この話は今度だ...今は祭を楽しもう」
「あぁ」
「湿っぽい空気はお前にも祭にも似合わない」

おどけたように言われ205は苦笑した
時計を見つつ署長に尋ねる

「...開催まで後どれくらいだ?」
「もう少しだ。祭ごとは待つ時間も楽しいものだろう?」


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