17 ++++++++ "貴方っていつもしかめっ面なのね..." 酷く懐かしい声が脳裏に響く その後に暗闇だった視界がひらけたように明るくなった その景色に浮かぶのは未だに想い続けている相手と話す過去の自分の姿 "...俺に笑顔が似合うかよ" "そんなことない...笑ったほうが素敵だと思う" そう言い背伸びしながらこちらの頬を撫で少し悲しそうに目を伏せる相手 "ここでくらい、気を休めて..." "休まる資格なんて...俺にはねェだろ" "貴方だからこそあるのよ。無理はしないで" 自身の手に比べ白く小さな手が腕に添えられる 心配そうにこちらを見つめる顔に思わず申し訳ない気持ちになった 安心させなければとぎこちないながらも笑顔を浮かべて見せる "...ありがとうな" "ほら、やっぱり笑った顔の方がいい" 言っている本人の方が綺麗な笑顔を浮かべた その姿を見つめどうしようもなく苦しい気持ちになる自分を感じ目を伏せる 抱きしめたくなる衝動を堪え拳を握り締めた そんなことをするような関係ではない 本気で想っているからこそうかつに手は出せなかった [*前へ][次へ#] |