2
「そうだな...あちらからの申請...もといこちらに圧力をかける為の書類にはこうある」
署長はそう前置き書類を読み上げ始めた
政府大型研究所ノ設立ニ伴イ
研究ニ必要ナ
サンプル確保ノ為早期実施ヲ希望スル
その内容を聞き205は皮肉気に口元を歪ませた
「また面白い実験ごっこでも始めるつもりかよ...」
「そうらしいな...それとあと一つ」
205の軽口に笑いつつ署長は表情を厳しくし告げた
「...新型兵器の実証実験の為ともある...」
「クソ...まためんどくせェのが来たモンだ」
溜め息を吐き頭を掻く205に署長が続ける
「仕方ない事だ豹壱...狩りはこの刑務所が民営としてやっていく際の絶対条件なのだから」
「...民営、ね。随分政府に融通の効く民営じゃねェか...」
「皮肉を言うのは止めたまえ豹壱...」
205を諌めるように言いながら署長も渋い顔で書類を見つめる
「まだウチはマシだろう?他の政府運営の刑務所に比べれば」
「...他は有無を言わせず実験マウス、だからウチはまだ幸せ、そう思えってのか?」
「...そうだ。抵抗権があるだけ...マシなことだろう」
署長は歳の割に鋭い眼光で205を見つめる
その目には言い過ぎだという威圧が籠っていた
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!