16 柴の言葉に07は驚いたように目を丸くする 「俺は正一、柴のもう1人の人格って言ったらわかりやすいかな」 「...正一...?」 「要するに名前と名字で呼び分けてるんだけど」 柔らかく笑んだまま柴は続けた 「柴ったら俺が君を気に入りそうだと分かってて君のこと必死で避けるんだもんな...おかげでなかなか近づけなくてさ...」 「柴が...」 その言葉を聞き看守の言っていた事が脳裏に蘇る ”アイツ気に入った奴には冷たいんだよ” 柴が執拗なまでに07に冷たく接していた理由が分かった気がした もう1人の人格―正一から自分を遠ざける為だったらしい 「樋野のガードもなかなか堅くて...やっと二人になれた」 喋り続ける柴を見つめ07は言う 「...もしかして」 「もしかしなくても」 何を言いたいのか察したらしく柴は07の腕を引き押し倒した 「...じょ...冗談だろ...!」 「冗談なワケないだろ?」 [*前へ][次へ#] |