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信頼している、結城が今まで出会った誰よりも

だが目の前の男は、果たして結城が信頼していた彼であるだろうか

205はつまらない事を言われ気分を害したようにどかりと椅子に乱暴に腰かけた
ため息を掃出し結城の方を見ずに告げる

「…生き残っちまうんだよ俺は」
「貴方は…」
「身勝手に死ぬには背負いすぎた…死ねない。無茶はするがどこかで制限してんだよこれでもな」

そう告げた205の表情は見えない

暫く静寂が空間を満たし結城が適切な言葉を選びとる前に205が立ちあがる
205は結城の傍まで近づいて笑みを向けた

今度は、結城の見知った彼の表情

「俺が死ぬ時はこの戦争が終わった時だ…死なねぇよ、なぁ信じてくれ」
「…え、えぇ…わかりました。でも無茶は…控えて下さいね」

どこかちぐはぐな205の態度に違和感を憶えつつも結城は頷いた
過ごした時の中で生まれた信頼が変わらないものであるのだと結城自身もそう願ったからだ

それからも205は英雄を演じ続けた
求められるままに、願われるままに

誰かの死を悼んでいた彼はもうそこにはない
己の死を恐れていた彼はもうそこにはない

痛みに倒れる事も戦いに抱く恐怖も全部己には似つかわしくない

だから時折顔を出す「戦いたくない」「もう止めてしまいたい」という感情を205は咎めた

黙っていろ臆病者、お前は俺には不要なものだ

誰もいない部屋で一人205は己につぶやく

「大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫…大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫…大丈夫、大丈夫、大丈夫…大丈夫…」

俺は大丈夫なんだよ

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