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その後205の顔は激昂した上官による激しい殴打で青紫色に腫れたのだが対して気になりもしなかった

…理論で通らなければ行動で示すのみだ

戦の当日、205は上官の指揮を無視し己の立てた作戦で戦い見事な勝利を収めた

勿論上官には呼び出しを受け、激しい叱咤と謹慎処分を受けたがそれも計算の上
それから205は何度も意図的に上官の命を破り行動し、そのたびに成果を出した

兵たちの間でも上官よりも205の指示に従ったほうが生還者が多いと噂になり、205の指揮を優先して動く者も増えた

「ここは、山を登って裏側から奇襲をかけましょう。奴らもまさかここから来るとは思わない」
「当たり前だ!険しい山だぞ…!体力をそこで消耗してしまえば戦で持たない!」
「その通り。当たり前にこんな山を登るわけがないのが普通だと考える。でも普通にやれば勝てない可能性が高い」

当初よりも兵たちの支持を得て発言権の大きくなったように見える205の提案に上官は苦い顔をする
205の作戦は一見突飛に見えるが、それは確かに敵の裏をかいてきているのだ

定石を覆す発想、それを実現に至らせるための工程まで織り込んだ説得力のある作戦

けれどもそれがいくら正しく思えようとも205の上に立つ者はそれを認めるのを渋った
自分よりいくつも下の、階級すらもずっと下の男に無能だと言われているようで腹立たしいという感情が先に立つ

「訓練法を変え、足腰を鍛え、また必要な装備をそろえれば十分に可能な…」
「馬鹿を言え…!そんな…前例のないものは認められない!」
「……ではご自由に」

提案をいくら会議で覆されようとも実践でその場を掌握し先導してしまえば205につく兵士は多い

的確な指示のみならず自らも率先して戦いに出る様は安全地帯で指示だけをする上官よりもよほど若き兵士たちの心を惹き付ける
意図したことではないが、軍の士気を上げる赤き獅子の名もそれを手伝った

当然上官達は己の立場を脅かすそんな205の勝手な行動も態度もすべてに対して不満を募らせていく

205の態度が反抗的なことを危険視した彼らは上層部にそのことを訴えかけ、その結果査問会が開かれることとなった

「どうして呼び出されているか、君は理解しているか?」

贅を凝らした内装の部屋に凝った装飾の椅子、そしてそれに腰掛ける男達数人を冷めた瞳で見つめ205はただ黙り込む

「君の態度が問題なんだよ」
「…態度の問題ならば改めましょう。しかし戦術においては私のものが優れていると実績で証明されています」


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