9 布越しのぼやけた視界に映る光が少し眩しくなったのと、頬を撫でる風で外に出たのだとわかった 裸足の足に渇いた砂の感触は外で間違いがなさそうだ 目隠しを外したい衝動に駆られるも何をされたかわかったものではないため必死に自分を抑える …外…か… 外にはトラックに乗り込んだ監視役の看守たち以外にも人数がいるらしく複数の掛け声が響いていた 囚人達は誰しも無言で前の人間に時々ぶつかったり、後ろの人間の足を踏みなどして舌打ちされながら前に進む 背後で感じるやたら掠れた呼吸は先ほどの男だろうか やけに荒い息にどうしたのかと思ったが振り向いた所で目隠しをされているため状況は掴めない 「…あぁ…神様」 そう男が呟いたのを聞いて07は小さく息を飲んだ 不安そうな、消え入りそうな声色でそんなことを言われると気分がつられてしまいそうになる …落ち着け、大丈夫。なんとかなる… 少し歩いた所で足の裏に感じるのが砂ではなく冷たい感触になり07は驚く 進めば進むほどだんだんと大勢の人間の気配とざわざわとした声が近くなってくる 看守達が静かにしろと怒号を飛ばしているのが聞こえるがあまりに大人数なのか囚人達の囁き声は煩い 前の人間が立ち止まったため額をその背中にぶつけ07は小さく謝罪の言葉を言いながら次の指示をまった その間に足の裏についた砂粒をパラパラと払う 「目隠しを外すぞ、No.07」 どこか聞き覚えのある声だと思いながら07は目隠しを外しやすいように顔をあげる 唐突にふにっと唇を触られ07が驚きに声をあげるとクスクスと笑う声が聞こえた やはり知っている声だ 「目隠し外すのにそんなキス待ちみたいな顔されるとしたくなるだろ?指で我慢したけど」 「…!看守…」 [*前へ][次へ#] |