6 ++++++++ 巨大な化物が大口を開けて待ち構えているようだ そんな感想が浮かぶのは己がこの状況に恐怖を感じているからだろう ゆっくりと引きずるような音を立てながら開いていく途方もなく巨大なゲートを07は見つめた 今まで生活してきた閉塞感の強いコンクリートの部屋や廊下とは全く異質な軍事施設を思わせるゲート …こんな場所があるなんて知らなかった… 皇都刑務所に来た時07は取り調べで暴れそのまま意識を奪われ連れてこられた為全貌を知らない この巨大なゲートが刑務所のまだごく一部なのかと思うと不安感が高まる ゲートが開ききると少しずつ列が前に進んでいく ようやくゲートの先が見える位置になり07は目を細めて奥を見やった 外、なのかと思っていたがどうやら違うようだ 明るいかと思っていたゲートの先はむしろ暗く建物の内部のように見える 「あれ?…違う…コンテナ…?」 建物の中に見えたそれはゲートに沿って並ぶ巨大なコンテナを積んだトラックだった No.を呼ばれる度にたくさんの囚人達がコンテナに流れ込んでいく 決まった人数ごとで運ぶのか扉が閉まるとコンテナを乗せたトラックはどこかへ走り去り、次のトラックが並んだ 看守たちの隙をついて逃げるのは難しそうだな、と07は並ぶトラックの隙間をちらりと見つめる もっともこの皇都刑務所での脱走は問答無用で射殺される可能性がありそう簡単に実行できる勇気もないのだが 「モタモタするな!早くしろ!」 乱暴な声かけでコンテナに詰められていく囚人にならい07も渋々コンテナに入る コンテナ内部は二段になっており外観どおりそこそこに広さはあるものの人が多いと流石に窮屈だった すし詰め状態の車内に顔をしかめながら腰を下ろす新たに入ってきた囚人に背をおされ07は小さく溜息を零した …荷物かよ俺達は… 家畜扱い、と先ほど思ったがそれ以下なのではと押し付けられる他人の体温に不快感を覚え07の眉が寄る 車内は暗く一緒に乗り込んできた見知らぬ看守の持つ灯りだけが頼りなく揺れてたくさんの囚人達の影を映す [*前へ][次へ#] |