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帝の喜びように、クスクスと笑みを零す壱陽
はしゃいだことに照れたのか帝は手にした箱をきゅ、と握り締め顔を赤らめた

「そ、そうだ…僕聞いたよ、狩りがあるんだよね?今回は僕も観るの参加したい…!」
「…それはあまりいい趣味とはいえないですね」

その言葉に途端、厳しい顔になる壱陽に帝は少しだけ怯んだ顔をしつつその袖を掴んだ
うつむいて言葉を発さない帝を見つめ壱陽はその口が開くのをじっと待つ

ようやく顔をあげた帝は頬をふくらませて不満そうな瞳で壱陽を見上げている

「…壱陽は見るんでしょう」
「仕事ですからね」
「僕は、帝なのにダメなの」

ぎゅぅ、と握り締められたスーツの袖を見て壱陽はシワになってしまうな、と思いつつ答える

「帝だからこそ我侭はいけないと教えたはずですよ。貴方が悪い子になると恐らく私のせいにされてしまう」
「えっ」
「もう会えなくなってしまうかも」

帝は手にした袖をぱっと離しもじもじと胸の前で手を落ち着かなさそうに動かした
色白の肌が少し青くなっていてあまりに素直な様子にまた笑いそうになるがそれをなんとか抑え壱陽は言葉を続ける

「この国を治めるものは誰よりも立派であらねばいけないのです」
「…わかった…わかったよもう言わないから…会えなくなったら…やだ」
「貴方がいい子でいる限りまた遊びにきますから」

頭を撫でる壱陽に帝はほっと息を吐き出す
壱陽は帝にとって退屈な世界を変えてくれた唯一の存在なのだ

窮屈な靴や服を脱ぐのを許してくれるのも、病気になるからと食べさせてもらえない甘い菓子をお土産でくれるのも
楽しい冒険の物語や旅の話を教えてくれるのもすべて壱陽だけ

帝にとって本当に信頼できるただ一人だった
壱陽は自分を全面的に信頼する小さな少年の頭を撫でながら考えた

…あぁ、退屈だ。狩りが待ち遠しいな


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あきゅろす。
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