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「アンタがいなけりゃすぐに潰されるぞ…あんだけのもの持ってて自分を守る術も知らない、おまけにすぐ人を信用する」
「あぁ」
「…見捨てたら死ぬだろうアイツ」

その言葉に205は口端を上げ笑った
ぞくり、と冷たいものが821の背中に走る

ゆっくりとその表情を楽しむように205は場に似つかわしくない笑みを浮かべたまま口を開いた

「そんなこと端からわかってる…それがなんだってんだ?」
「…っ…」

先ほどの複雑そうな顔をした205を見て受けた印象が思い違いだと感じるほど冷めた声色
821はじり、と後退し自然と間合いをとっている自分に気づく

…この俺が気圧されてる…?

この男は他人と違い何が本心なのか読めない
仕事柄人の心情を読むのは特技のようなもので自信があったはずだというのに

冷や汗がつぅ、と首筋を伝うのを感じ821は強がるようにへらりと笑う

「…アンタはよくわからねぇな」
「あるかないかの面識程度で俺を把握できる方が変な話だ。情報だけで知った気になるなよガキ」

あからさまな挑発の言葉を投げ捨てられ821の眉間に皺が寄る
205は向けられる視線に愉しそうな色をたっぷりと含ませながら口を開いた

「俺はお前みたいな勘違いした馬鹿が嫌いなんだ」
「…ンだと…?」
「"躾"てやってもいいんだぜ?」

205は821の腕を引きその身体を壁に押し付ける
咄嗟のことに反応できず821は痛みに顔をしかめた

手加減しているだろうがその力はそれなりのもので息がうまくできない


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