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「…悪いがそういう取引に応じる気はない。報酬は情報か煙草って決めてるんだ」
「そんな悠長な事を言ってられる立場か?お前はもうすぐBブロックに移動になると聞いたが」
「おー怖いね。それは俺がブロックを移ったら報復するってことか?」

引かない様子の821に205は内心で苛立ちはじめる
この男は食えない、噂通りであれば頭が回る分面倒だ

「そうだと言ったら?」
「なら俺も持てるものを最大限活用して己の身を守る事に専念させてもらう…アンタが思ってるよりも情報ってのは力があるぜ?」

821のその言葉にはやたらと確信めいたものがありそれに絶対の信頼を置いているようだった
それは根拠のないものではなく、実際821は整った容姿であるのにもかかわらず囚人達に身を汚されてはいない

情報の正確さが重宝されているのもあるが腕も立ち、様々な面白い話が出来ることから刑務所内ではむしろ一目置かれているほどだ
205は情報屋を頼りにしたことはないがそんな評判があるのは知っている

だからと言って205にはそんなことどうでもいいのだが

「…別にお前がどう動こうとここで俺に一発ぶん殴られるのは回避できないと思うが」
「No.07の情報をばらまかれても?お客様を売れないとは言ったが身の危険があるなら厭わないぞ」
「…は、それが脅しのネタになると思ってンなら勘違いもいいところだな」

205の反応が思っていたものと違ったらしく821は眉を寄せる
そんな821に205は再度言葉を重ねた

「どうだっていいんだよあんなのは。ただの暇つぶしだしな」
「…マジで言ってるのかよそれ」
「あ?」

見ると821は本当に信じられないという顔をしながら尋ねる

「…あれだけのものを手放すのか…?」


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