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低く良く通る声で静かに口を開く205
それだけでざわつきはしん…と収まる

205は沢山の囚人たちを見渡しながら続けた

「初めての奴、何度目かの奴いるだろうが、今回のはケタが違う」

いつもなら簡単にまとまらない囚人達だが今は誰もが固唾を飲んで205の言葉を待っていた

普段この男はだらしなくあまり真面目な話をしない
それだけに真面目な口調で話すとその発言一つ一が際立つ

「うまくやらねぇと大勢死ぬことになる。わかるな」

返事を特に期待しない問いかけに囚人たちはごくりと息を飲んだ
その言葉に乗せられた重みが冗談ではないと知っている

「奴らの好きにさせるほど俺たちの命は軽くねェ」

マイクなど使ってはいないのにその声は鼓膜に低く響く
低く落ち着いた声を張り上げ205は言う

「…これは戦争だ。あいつらのモルモットにされたくねェ奴は死ぬ気でついて来い!」

ビリビリと会場を震わせる大声のすぐあとに囚人達から歓声が上がった
皇都刑務所内ですら看守たちに人らしい扱いを受けないことが多い囚人達はその言葉に共感し叫ぶ

「そ、そうだ!殺されてたまるか!」
「返り討ちにしてやろうぜ!」
「やってやる!」

205の言葉に奮起させられたようで先程までの静寂が嘘のように狭い食堂内が騒がしくなる
ざわつくその熱を収めるように署長が告げた

「さて、今日はこれで解散とする。明日から狩りまで労働はなしだ。自室で指示を待つように」


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あきゅろす。
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